記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/13 記事改定日: 2020/9/11
記事改定回数:2回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高血圧には「本態性高血圧」と「二次性高気圧」があり、違いがあります。高血圧は身近な健康トラブルで、合併症を引き起こすリスクへの注意が必要です。体調を悪化させないためにも、本態性高血圧症の特徴をきちんと理解しておきましょう。
血圧とは血液が流れるときに血管の壁を押す圧力のことで、この圧が安静時において基準値をオーバーして高い状態にあることを「高血圧」と言います。年齢や合併症の有無よって違ってきますが、下記の人は高血圧の可能性があります。
高血圧の基準値が安静時に限られている理由は、人間は運動や興奮すると一時的に血液が勢いよく送り出され血圧が高くなるためです。
高血圧は血圧が上昇してしまう原因によって、本態性高血圧と二次性高血圧の2種類に分けられます。
本態性高血圧は、病気やホルモンの異常などがみられず、高血圧の原因が明らかになっていないものです。一次性高血圧とも呼ばれることがあります。原因はわかっていませんが、遺伝的なものや家族性、本人の生活習慣病が大きく関係していると考えられています。
二次性高血圧は、高血圧を引き起こす原因が明らかになっているものです。その原因は病気や薬の影響であり、二次性高血圧を引き起こす病気として、腎炎や腎盂腎炎など腎臓の病気や、クッシング症候群などのホルモン異常を起こす病気、心臓や大動脈などに異常が起こる血管性の病気などが挙げられます。また妊娠後期に起こりやすいとされている妊娠高血圧症候群も二次性高血圧に該当します。
本態性高血圧の原因は先にも述べたとおり、明らかにされていません。しかし個人の生活習慣が大きく影響している可能性は高く、そこに遺伝的な要因や家族性などが複合的に絡み合った結果として高血圧が引き起こされると考えられています。
例えば、塩分の過剰摂取は水分の過剰摂取量につながります。水分の摂取量が多くなると血液量も多くなるため、血管への圧力=血圧も上がってしまいます。また塩分の摂りすぎは腎臓にも負担をかけてしまうため、腎臓の機能低下が原因の血圧の上昇を引き起こすことも考えられます。
その他、飲酒や喫煙、強いストレス、慢性的な睡眠不足なども血管の健康を損ねる要因とされているため、本態性高血圧の発症につながる可能性があります。
本態性高血圧は原因がわからず自覚症状も乏しいため発見が遅れる傾向があり、様々な合併症に発展してしまうリスクも高くなるので注意が必要です。
脳血管疾患はいわゆる脳卒中のことで、命の危機に直結しやすく、助かったとしても重篤な後遺症が発生しやすい恐ろしい病気です。これは心筋梗塞や心不全などの心臓疾患も同様です。
また高血圧が続くと、血圧を調整している腎臓にも機能低下や病気が発生しやすくなってしまいます。腎臓の病気が腎硬化症や腎不全と進行してしまうと腎移植や人工透析が必要になってきます。
本態性高血圧と二次性高血圧の治療法はそれぞれ異なります。
血圧を下げる作用のある種々の降圧剤の内服治療が行われます。薬の効果には個人差がありますので、それぞれに合った種類や量を組み合わせて服用する必要があるため、治療を開始した後も定期的に病院を受診して薬を調整していくこととなります。
また、好ましくない生活習慣が高血圧の発症・悪化を招くことがありますので、食生活や運動習慣などの改善が指導されます。
腎臓や副腎などの病気や薬剤の副作用によって生じる高血圧ですので、高血圧を引き起こす原因の治療や改善が優先して行われます。
本態性高血圧は、上述したように好ましくない生活習慣が主な原因です。そのため、本態性高血圧を予防するためには、食事面では適切な塩分量(男性:7.5g未満、女性:6.5g未満)やカロリーを守ること、適度な運動習慣を持つこと、十分な睡眠や休息をとることなどを心がけるようにしましょう。
一方で、高血圧は自覚症状がほとんどありません。そのため、高血圧に気付かずに適切な対策や治療をしないまま動脈硬化などの合併症を引き起こしている人も多いです。
本態性高血圧は誰でも発症する可能性がありますので、日ごろから定期的に血圧を測り、自身の血圧の状態を把握することが大切です。
家庭用血圧計を用意し、「決まった時間」にできれば「毎日」測るようにしましょう。起床後30分~1時間後、就寝前など落ち着いた状態のときに測るのがおすすめです。
原因となる病気がない本態性高血圧は、自覚症状も乏しいため発見が遅れがちです。高血圧を放置していると、心筋梗塞や脳梗塞、腎不全などの深刻な病気を合併するおそれがあります。定期的な健康診断とあわせて、血圧は血圧計でマメにチェックするようにしましょう。