解離性大動脈瘤(大動脈解離)と大動脈瘤は何が違うの?

2017/12/21

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

間違えやすい疾患の例として挙げられるのが、「大動脈瘤」と「解離性大動脈瘤(大動脈解離)」です。では、両者はそれぞれどういう病気なのでしょうか?以降で詳しく解説していきます。

大動脈瘤と解離性大動脈瘤(大動脈解離)の違い

大動脈瘤と解離性大動脈瘤(大動脈解離)は全く異なる病気であるため、区別する必要があります。

まず、大動脈瘤は正常な大動脈内腔の一部、または複数部位が病的に拡大してしまっている状態のことを言います。一般に大動脈が正常径の1.5倍以上となっていると大動脈瘤と診断され、2倍以上となっている場合には緊急手術が必要となります。

一方、解離性大動脈瘤は血管の一番内側にある内膜に亀裂が入り、そこから血液が一気に流れ込み、次の中膜が裂けて剥離を起こしてしまう病気のことを言います。

以上のように、大動脈瘤は大動脈が拡張してしまう病気のことを言い、解離性大動脈瘤(大動脈解離)は大動脈が解離してしまう病気のことを言います。

大動脈瘤について

大動脈瘤は、身体の中で一番太い血管である大動脈が何らかの原因で膨らんでしまった状態のことを言います。多くの大動脈瘤は、徐々に大動脈の径が拡大していくためにほとんど症状がありません。なぜなら、大動脈瘤ができても破裂するまでは血液がふつうに流れているからです。まれに声がかすれる、むせることが多い、息苦しくなる、血痰が出るなどの症状が出ることもありますが、大動脈瘤に罹っている人のほとんどが自覚症状がない状態で日常生活を送っています。

しかし、大動脈瘤が破裂してしまった場合には、大量に出血してしまうため、破裂した大動脈を人工血管に取り替える手術をすぐに行う必要があります。大動脈が破裂した際の激しい痛みにより失神することもあります。

大動脈解離について

解離性大動脈瘤(大動脈解離)は、外膜・中膜・内膜の3層構造になっている大動脈のうち、内膜に何らかの原因で裂け目ができ、内膜の外側にある中膜の中に血液が流れ込んでしまうことで裂けてしまった状態を言います。中膜に流れ込んだ血液は新たな血液の流れ道(解離腔又は偽腔)をつくり、それによって血管が膨らんだ状態が解離性大動脈瘤(大動脈解離)と呼ばれます。中膜が裂けてしまい、外膜しかなくなってしまっていることから破裂する危険性もあります。

解離性大動脈瘤になると突然胸部、あるいは背部に刺さるような激痛があらわれます。症状が進行するにつれて痛みが胸から腹、さらに脚へと下向きに進行しています。突然意識を失うこともあり、腹部の臓器に血流を送っている分岐血管にまで裂け目が進行すると、血流障害によって各種臓器が虚血、壊死を起こすこともあります。

予防にはコレステロール値の管理が大切!

大動脈瘤や解離性大動脈瘤を予防するためには、コレステロール値を管理することが重要となります。なぜなら、その主要な原因が両者ともに高血圧であるからです。血圧が高いとそれだけ血管への負担が大きくなってしまい、血管に瘤ができやすくなったり大動脈の内膜が裂けやすくなります。

つまり予防のためには、血圧の管理が非常に重要となります。特に糖尿病や高脂血症を患っている場合には動脈硬化を起こしやすいため、血圧のみならずコレステロールや血糖値を、食事や運動によって管理することが必要です。コレステロール値が高くなると血管がもろくなってしまうことから血管に瘤ができたり、血管が裂けてしまう原因となります。コレステロール値をできるだけ下げるように管理するようにすることが、血管をもろくしないために大切なポイントとなります。

おわりに:いずれも高リスクの疾患。継続的な血圧コントロールを!

大動脈瘤と解離性大動脈瘤を混同している方は少なくないようですが、両者は別の病気です。ただし、いずれも死に直結するリスクがあるので、日頃の食事や運動で血圧を継続的に管理することが非常に重要です。

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