記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/18 記事改定日: 2019/4/5
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
足の静脈に、ぼこっとしたこぶのようなものができる「下肢静脈瘤」。この下肢静脈瘤に対しては、どんな治療が行われるのでしょうか?
治療の種類やそれぞれの特徴、費用の目安などを以降で詳しくご紹介していきます。
血管には動脈と静脈の2種類があります。動脈は心臓から全身に血液を送る役割を、静脈は全身で利用された血液を回収する役割を担っています。そして下肢静脈瘤は下肢(主に足)の静脈がぼこぼこと膨れ上がり、それが筋となって足の表面などに出てくる病気のことです。でこぼこの曲がった筋のような静脈が足表面に出るだけでなく、足のむくみや疲労感も引き起こします。
なお、下肢静脈瘤によって発生するこれらの膨らみは、静脈内の血流がうまくいっていないことのあらわれです。そして静脈内の血液は使用済みの老廃物を多く含んだ血液ですから、それが解消されないことでむくみや疲労感が引き起こされるようになります。
下肢静脈瘤の治療法は下記のように分類されます。
下肢静脈瘤の新しい治療法として近年注目されているのが、レーザー治療です。これは静脈の中に細いレーザーファイバーを挿入、そしてそのレーザーファイバーが発する熱によって静脈を塞いでしまう方法です。塞がれてしまった静脈には血液は流れないので瘤は自然に解消されます。また焼かれた静脈は、その後他の組織に吸収され消滅していきます。
レーザー治療のメリットは、ストリッピング手術のように静脈自体に直接的に作用がもたらされる一方で、それに比べると体への負担が少ないと言う点です。ストリッピング手術の場合は切開が必要ですが、レーザー治療の場合は細い針を刺すだけで施術が開始できます。また引き抜く作業も不要なので、その後の回復も早いです。
下肢静脈瘤の治療法にはいくつかの方法があり、それぞれにメリット、デメリットがあります。
たとえば圧迫療法は、弾性ストッキングを着用するだけなので体への負担は少なく、手軽に行うことができます。しかし静脈そのものへの働きかけは少ないので、症状が進行している場合には効果が十分に得られない可能性もあります。
一方の手術療法の場合、静脈そのものに働きかけを行うので下肢静脈瘤の原因を根本から解消することに、高い効果が期待できます。
しかしストリッピング手術では、切開や静脈を引き抜く必要があったりと体に対してある程度の負担を強います。
ですから下肢静脈瘤の治療法を選択するにあたっては、それぞれのメリット、デメリットをしっかりと把握し、自分のライフスタイルや希望、また症状の程度などと照らし合わせ、医師と相談しながら自分に合った方法を選択することが大切です。
下肢静脈瘤には種々の治療方法があり、それぞれかかる費用は異なりますが基本的には健康保険の適応になります。
治療を行うには超音波検査や血液検査などの術前検査が必要になります。医療機関によって行う検査は異なりますが、一般的には術前の検査費用は初診料も含めて3割負担で10000円前後が相場です。
また、治療に関しては最も簡便に行える硬化療法は5000~6000円、高位結紮術は15000~20000円ほどで受けられます。一方、ストリッピング手術やレーザー治療のように特殊な技術や医療機器が必要な治療は40000~50000円ほどとやや高額な負担になります。
ただ、これらの治療費はあくまでも目安ですので、実際にどれくらいの費用がかかるかについては事前に治療を受ける予定の医療機関に問い合わせておきましょう。
弾性ストッキングの着用や手術、レーザー治療など、下肢静脈瘤の治療法にはさまざまなものがあります。それぞれのメリットやデメリット、重症度をふまえた上で、専門医と相談しつつ自分に合った治療を選択していきましょう。