男性だけに現れる、クラインフェルター症候群とは?

2017/12/14

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

クラインフェルター症候群は、性染色体の異常で起こる病気です。症状には個人差がありますが、いったいどのような症状が起こるのでしょうか。この記事では、クラインフェルター症候群の原因や症状、治療法などの基礎知識を紹介しています。

クラインフェルター症候群はどんな病気?

性染色体にはX染色体とY染色体の2種類があり、XとYの組み合わせによって性別が決定されます。
クラインフェルター症候群は、男性の性染色体にX染色体が通常より一つ以上多くなること(XXYやXXXYなど)で生じる疾患の総称であり、男性だけにみられる疾患です。
性染色体異常がなぜ起こるのかは完全にはわかっていませんが、クラインフェルター症候群は、精巣の発育不全や無精子症など性腺機能の低下が症状としてあらわれるほか、細長い四肢などが身体的特徴としてあらわれます。

どんな症状・合併症があるの?

クラインフェルター症候群の代表的な症状として挙げられるのは、小児期から学習障害、四肢細長、精巣委縮などであり、人によっては女性化乳房や顔毛の発育不良があらわれる場合もあります。

症状は個人差が大きく、これらの症状が全てあらわれるとは限りませんが、およそ性的機能の発育が盛んな思春期頃に上記の症状が現れやすいことが特徴です。そのため、このような症状や特徴に気づき、クラインフェルター症候群が疑われるようになり、染色体の検査をして初めて発見されることも多いといわれています。

さらにクラインフェルター症候群の男性は、身長は高く手足が長いという身体的特徴を持っていることも多いです。また、言語障害がみられることも多く、言語障害のために感情表現が苦手になり、感情のコントロールがうまくできなくなってしまうこともあるようです。

その他、染色体異常により、悪性腫瘍や骨粗鬆症、自己免疫疾患、糖尿病、軽度の知的障害などの合併症が引き起こされる可能性もあります。

クラインフェルター症候群の原因とは?

クラインフェルター症候群の原因はX染色体が通常の男性よりも多くなることです。しかしながら、なぜそのような異常が起きるのかまでは明らかとされていません。
高齢出産の際に罹患した子供が生まれる確率が高いという研究も存在しますが、高齢出産が直接的な原因であるとできる確証はありません。クラインフェルター症候群を発症している場合には、無精子症を併発していることが多いことから自然妊娠は難しく、不妊治療が必要となります。

クラインフェルター症候群の治療法について

クラインフェルター症候群を原因とする言語障害には言語療法による治療も行われますが、代表的な治療法として挙げられるのはホルモン治療です。不足している男性ホルモンを補充するため、テストステロンと呼ばれる男性ホルモン剤を注射します。
クラインフェルター症候群の症状があらわれはじめる思春期に男性ホルモンによる治療を開始することができた場合、正常な二次性徴の発達など良好な効果を期待することができるといわれています。また、男性ホルモン剤を作用で男性化が促進され、骨密度を上昇させることもできるとされています。
ただし、男性ホルモン剤の注射は染色体の異常そのものを根治することができません。あくまでも対症療法であることは理解しておきましょう。

おわりに:クラインフェルター症候群は精巣萎縮などがみられる疾患。治療については医師と相談しながら決めよう

クラインフェルター症候群は、性染色体の異常で発症する疾患です。女性化乳房や精巣萎縮などの症状が現れ、骨密度の低下や言語障害などの合併症がみられることもあります。治療は男性ホルモン剤の注射が中心になりますが、あくまでも対症療法であり、根治することはできません。医師と相談しながら、クラインフェルター症候群の子供が過ごしやすい周囲の環境を整えてあげるようにしましょう。

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