双極性障害の治療は入院が基本?薬以外に有効な治療法は?

2017/12/13 記事改定日: 2018/4/3
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

双極性障害とは、かつて躁うつ病と呼ばれていた病気であり、気分が高まる躁状態と気分が落ち込むうつ状態を繰りかえす症状です。今回はそんな双極性障害の治療について、有効な薬や薬以外の治療法、入院が必要かどうかについて解説していきます。

双極性障害の治療は入院が必要?

双極性障害とは、気分が非常に高揚し積極的になる「躁」状態と、気分が落ち込み何もしたくなくなる「うつ」状態を繰り返す病気です。

治療で入院が必要になるかは、症状の程度によって異なります。双極性障害にはI型とII型があり、I型は重度の躁状態とうつ状態を繰り返し、社会的な後遺症を引き起こしたり、自殺をしようとしたりする恐れがあるため、入院を要します。躁状態が強まると、本人は病気だという自覚を失い、周囲を危険にさらしたりすることがあります。一方II型は軽度の躁状態とうつ状態が特徴のため、入院を要するほどではありません。

双極性障害の治療法は?

双極性障害には代表的な治療方法が2つあります。薬物療法と心理療法(カウンセリング)です。

薬物療法

治療の基本は薬物療法で、気分安定薬の炭酸リチウムやバルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、カルバマゼピンなどが使われます。躁状態でもうつ状態でも気分が不安定な状態であることには変わらないので、まずは気分を安定させることが治療の基本です。また気分安定薬は、気分の高揚を抑えたり、うつ状態を改善して自殺を予防させる効果が期待できるうえに、二つの気分の波が繰り返し起こるのを抑える作用もあるといわれています。

気分安定薬のほかにも、その人の状態にあわせてクエチアピンやオランザピンなどの抗精神病薬や、ミルタザピンやセルトラリンなどの抗うつ病薬を用いることがあります。

心理療法(カウンセリング)

双極性障害は脳や遺伝などの身体的な原因によって発症すると考えられているため、心の悩みではないという点から、カウンセリングのみでの治療は難しいです。しかし外的刺激によって再発することのある疾患のため、生活習慣を含めた心理療法も併せて行うことが重要です。

具体的に行われるものとしては、まず認知行動療法があります。認知行動療法とは、物事に対する極端な解釈の仕方を現実的なものに変えていく治療法で、双極性障害の場合は気分の変化による思考や行動パターンを最小限にすることを目的に行います。

また、対人関係・社会リズム療法も重要な心理療法の一つです。双極性障害の患者さんは、不規則な睡眠などの生活リズムの乱れや、対人関係による刺激によって症状が左右されます。この2つをコントロールする技術を習得していくのが、対人関係・社会リズム療法になります。

双極性障害の治療に運動が効果的って本当?

近年ではさまざまな研究によって、運動が双極性障害やうつ病、ADHDなどの精神疾患に治療効果があることがわかってきています。有酸素運動や筋トレなど、軽い運動習慣をつけましょう。先述の通り、双極性障害は不規則な生活習慣によって症状が不安定になる傾向にあるので、日常生活の中で毎日同じ時間に運動し、就寝することは治療の補助として有効と考えられます。

双極性障害は漢方で治療できる?

双極性障害の治療は先述の西洋薬での治療が基本ですが、躁状態がひどく寝付けないなどの場合は、神経を和らげ不眠を改善する漢方薬(温胆湯など)を補助的に服薬することで、症状が楽になる可能性はあります。双極性障害による症状を緩和したい場合は、漢方薬の服薬について、いちどかかりつけ医にご相談ください。

双極性障害の治療上の注意点

双極性障害を治療するうえで重要なことは、薬をきちんと継続することです。途中で薬の服用や通院を勝手に止めてしまうと、再発のリスクが高くなったり、回復までに時間がかかることも少なくありません。再発を繰り返していると、最初は二年で発症したのに、次は一年、次は半年と次の発症までの期間がどんどん短くなっていく可能性があります。

こうしたことを繰り返すと、だんだん薬も効きにくくなってきて、治療が難しくなってきます。医師の指示なしに勝手に薬をやめたり、薬を減らしたりすることは絶対にしないようにしましょう。

おわりに:双極性障害という疾患を理解し、継続的な治療を

双極性障害の心理療法の基本は、自分の病気を理解することです。治療の上では薬の服用を継続することが重要ですが、薬で気分を落ち着けることはできても、再発を防ぐためには、学校や職場、家族との付き合い方や日々をどう過ごすのかをきちんと考える必要があります。

そのためには、まずは自分の病気を受け入れることが大切です。双極性障害の人は、躁状態のときはとても活動的でテンションが高いため、「心の病気」であるという自覚が乏しく、そのような自分を受け入れにくい傾向があります。そのため、躁状態のときに薬の服用をやめてしまうケースが多いようです。病気をしっかりと受け入れ、自己判断で薬や他の治療を中断しないように心がけましょう。

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