どうしてアルコール依存症から抜け出せないの?

2017/12/12

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

頭ではわかっていても、お酒を飲むのがやめられなくなってしまう「アルコール依存症」。では、このアルコール依存症から抜け出せなくなってしまうのはどうしてでしょうか?以降で解説していきます。

アルコール依存症とは?

アルコール依存症とは、アルコール飲料を飲まずにいられなくなり、際限なく飲み続けてしまう病気です。

アルコールを飲むことによって、脳には強い覚せい作用が生まれるのですが、その覚せい作用が起こると脳の抑制スイッチが切れて気分が高揚します。この高揚感に包まれることによるストレス分散が、アルコール依存症になる主な理由といえます。

しかし、この高揚感を常に得たいという思いが脳の中に生まれると、お酒のアルコールが切れたときの反動を抑えられなくなります。そして徐々にお酒を飲むことがやめられなくなり、最終的には飲用以外のアルコールも飲んでしまうようになります。

アルコール依存症の代表的な症状

アルコール依存症になると、最初の段階では、他人から見れば異常なまでの飲酒量になり、さらに仕事場や空いた時間でも飲酒するようになります。次に起こるのが脳の反動による症状です。脳の抑制スイッチが元に戻ると、脳の神経が元に戻るので手や全身の震えと発汗が始まり、その後不眠などの精神不安から嘔吐などの身体的ダメージへとつながります。

しかし、これらの症状はお酒を飲むとおさまるので、さらに飲酒が加速してしまいます。そして飲酒が加速して末期状態にまで進行すると、脳の神経がボロボロになってしまい、幻覚や幻聴そして見当識障害などを引き起こします。この段階にまで発展すると、脳だけでなく肝臓や胃や腸にもアルコールの刺激が断続的に続くので、臓器に障害が起きます。最悪のケースとして命を落とすこともあります。

アルコール依存症から抜け出せないのは何故?

アルコール依存症から抜け出せない主な要因のひとつめが、「脳の抑制が効かなくなっていること」です。通常、脳は現在の状況を見極めて、その時に最良の行動をするように神経を動かします。しかし飲酒によって脳の抑制スイッチが切れると、お酒を飲むことを善の行動と記憶し、意思とは関係なくやめられなくなります。

ふたつめが、「反動への恐怖心」です。お酒を飲んだ後の翌日に起きる二日酔いをイメージするとわかりやすいのですが、二日酔いはお酒を分解したときにできた毒素が体の中で回ることで起きるものです。つまり、飲酒量が多ければ多いほど、二日酔いの反動が強く出ます。その反動を抑えるために、もう一度飲酒をして緩和しようとすることで、アルコールから抜け出せなくなります。

もちろんこれ以外にもアルコール依存症から抜け出せない理由はありますが、基本的なアルコール依存症から抜け出せない理由はこの2つになります。

おわりに:悪循環に陥りやすいアルコール依存症

アルコールが抜けたときの反動を、さらなる飲酒で緩和しようとする点が、アルコール依存症の厄介なところです。自力での克服がなかなか難しい傾向にあるので、病院にて専門的な治療を検討することをおすすめします。

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