記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/12/13
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
まぶたが垂れ下がってしまうことで、視野が狭くなったりする「眼瞼下垂(がんけんかすい)」。ただ、眼瞼下垂には複数のタイプがあり、それぞれで治療法が異なります。以降で詳しく解説していきます。
眼瞼下垂(がんけんかすい)とは、瞼を引っ張り上げる筋肉に異常が起こることで、上の瞼が垂れ下がった状態になることです。瞼が黒目の上まで上がらないため、目が開きにくいとか、瞼が重い、視野が狭くなるなどの症状があらわれます。また、瞼が開きにくくなることで、その代わりに額の前頭筋を使って目を開けようとするため、額に深いシワができることもあります。
眼瞼下垂の原因は、加齢によるものが多いのですが、そのほか、コンタクトレンズを長期間使用している場合にも発症することがあります。眼瞼下垂をそのまま放っておくと、視野が狭くなるだけでなく、肩こりや頭痛、視力低下、自律神経失調症などを引き起こす恐れがあります。
眼瞼下垂には、「腱膜性眼瞼下垂」「老人性眼瞼下垂」「先天性眼瞼下垂」「偽眼瞼下垂」などさまざまな種類があります。
まず腱膜性眼瞼下垂は、筋肉と瞼のつながりが悪いことで起こる眼瞼下垂です。瞼が開けにくく、肩こりや頭痛、額のシワなどになることもあります。目の酷使、目をこすりがちな人が発症しやすい症状です。
次の老人性眼瞼下垂は、瞼を上げる機能はあるけれど、皮膚がたるんでいるために起こるものです。高齢者に多く見られるタイプの眼瞼下垂です。
先天性眼瞼下垂は、発達異常や遺伝によって引き起こされる眼瞼下垂です。生まれつき瞼を上げる筋力が弱く、また筋を動かす神経機能異常によって瞼が垂れ下がる症状です。
最後の偽眼瞼下垂では、瞼の筋力に異常がないにも関わらず、目が開きにくいなど眼瞼下垂と同じような症状があらわれます。瞼や額の皮膚のたるみなどが原因で起こります。
眼瞼下垂の治療法は、種類やタイプによって違いがあります。
まず腱膜性眼瞼下垂の場合には、瞼を上げる筋力はあるので、弛んでしまった瞼を上げる腱膜を固定するための治療法を採ります。腱膜固定術と言われる手術では、腫れも少なく、比較的短時間で済ませることができます。
老人性眼瞼下垂の場合は、瞼を引き上げる動きはあるのですが、瞼がたるんだ状態であるため、余分な瞼の皮膚を取り除く手術をします。手術をすることで、目が開きやすくなり、額のシワも軽減されます。
先天性眼瞼下垂の場合には、瞼を上げることができないため、額の動きを良くするために筋膜を移植する手術をします。額の筋力が強くなるため、額を動かすだけで、瞼を開くことができます。
偽眼瞼下垂の場合は、まぶたのたるみをとる手術などが行われます。
眼瞼下垂ではないかとお悩みの方は、一度医療機関に相談してみましょう。ご自分の瞼がどのような種類、タイプであるかをみてもらい、的確に治療を進めていくことをおすすめします。治療や手術には、保険が適応される場合もあるので、不安なことは専門クリニックに聞いてみましょう。