記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/13 記事改定日: 2019/4/1
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
運動神経への障害が起こることで、手足が動かなくなってしまう「ギラン・バレー症候群」。このギラン・バレー症候群に対しては、どういった治療法が行われるのでしょうか?以降で詳しくご紹介していきます。
ギラン・バレー症候群(Guillain-Barré syndrome)は、筋肉を動かすための運動神経の機能が低下していく病気です。全身に力が入らなくなってしまう病気であり、重症の場合は呼吸をするための運動神経も機能しなくなってしまい、呼吸不全になってしまう場合もあります。
発症すると、手足などの運動神経が機能しなくなりますが、前兆として風邪と似たような症状が出たり、扁桃炎や咽頭の腫れ、急性胃腸炎、下痢などが起こります。
これらの前兆症状はギラン・バレー症候群を発症した大半の人が発症しています。特に風邪などで体がだるくなっている人は、ギラン・バレー症候群が発症したことに気がつきにくいため、注意が必要です。
ギラン・バレー症候群の症状には、運動神経の機能不全以外には顔面神経麻痺や腰痛、外眼筋麻痺、球麻痺、感覚麻痺、自律神経障害、排尿障害などがあり、生活に支障が出るものが多いです。軽度であれば気がつかないまま治療を放置しているケースもあるため、病気のことを知って適切な対策をとることが重要です。
ギラン・バレー症候群の治療法には、免疫グロブリン大量静注療法や血漿交換療法、ステロイド薬の投与などがあります。
免疫グロブリン大量静注療法は、5日間連続で点滴静注をする方法であり、最初は少量の薬剤を点滴していき、副作用がないことを確認した後に薬剤の投与量を増やして点滴を行う治療方法です。
血漿交換療法は、人工透析のような治療方法であり、専用の機械を用いて血液を体外に排出して、血漿を健康な人のものと交換する治療です。投薬治療で効果が無かった人などに行うことが多いです。
ステロイド薬による治療とは、副腎皮質ステロイドを投与する治療方法です。免疫グロブリン大量静注療法とステロイド薬の治療を同時に行うこともでき、より高い治療効果が期待できます。
ギラン・バレー症候群の合併症には、肺炎や膀胱炎などの感染症があります。ギラン・バレー症候群はインフルエンザやHIV、デング熱などの細菌やウイルス性の病気が発症したことが原因で起こるケースがほとんどであるため、原因疾患に対する適切な対処をしながら治療してもらうことが重要です。
また、呼吸筋の麻痺、血液感染症、肺血栓、心停止などの重篤な合併症もあり、この場合は入院して医師や看護師に体の管理をしっかりとしてもらう必要があります。
筋力の低下が起きた場合は、リハビリをして体の機能を徐々に取り戻していく必要があり、少しずつ機能を取り戻していく必要があります。四肢が動かなくなる症状もあるため、リハビリなどをしっかりとする必要があります。
一般的にギラン・バレー症候群の予後はよく、症状は急速に進行するものの遅くとも4週間以内には徐々に回復していきます。
しかし、発症直後から重症で呼吸筋麻痺により人工呼吸器の装着が必要なケースや高齢者などは神経障害が残ることもあり、中には死に至るケースも報告されています。
治療期間中は医師の指示通りの薬物療法やリハビリを行いましょう。特にリハビリは筋肉に過度な負担をかけないよう運動量や強度を調節する必要があり、無理な動作や運動を行わないことが大切です。また、下肢の脱力が生じやすいため、転倒による怪我には十分注意しましょう。
そして、急速に脱力やしびれなどが進行する・呼吸苦がある、などの場合は早急に病院を再診して検査・治療を受けるようにしましょう。
ギラン・バレー症候群に対してはさまざまな治療法があり、それぞれでリスクや治療効果は異なります。専門医と相談の上で、状態に合った治療法を選択していくことが大切です。