レイノー症候群の種類と治療法を解説します

2017/12/13

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

若い女性の発症率が高いとされる「レイノー症候群」には、実はいくつか種類があります。今回はその種類についての解説と、種類ごとの治療法をご紹介していきます。

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レイノー症候群とは?

レイノー症候群は何らかの病気が原因で、寒さに反応して手指が白くなりしびれ等を起こすレイノー現象と呼ばれる症状が起こる病気です。レイノー現象だけが起こる場合はレイノー病とも呼ばれ、原発性レイノー症候群に分類されます。膠原病や神経を圧迫する病気、閉塞性動脈疾患など他の病気が原因でレイノー現象が起こるものは続発性レイノー症候群と呼ばれています。ピアニストなど指に振動が持続したことが原因でレイノー現象が起こることもあります。

レイノー現象は冷たいものに触れるなどの寒冷刺激や寒さ、精神的な緊張によって細い動脈が強く収縮することで手足の指先が青白くなったり紫色になるなどの変化を起こし、チクチクとした感覚やしびれなどが生じたりします。原発性レイノー症候群のほうが続発性レイノー症候群と比べて患者数が多く、原発性レイノー症候群に罹患する多くが15~40歳の女性です。

レイノー症候群の種類について

レイノー現象を起こす原因がはっきりと特定できない原発性レイノー症候群は、若い女性が罹患しやすく、何らかの原因で末梢血管が循環不全を起こして発症すると言われています。寒さや精神的ショックなど交感神経系への刺激が引き金となって動脈を収縮させてレイノー現象が起こると考えられています。冬季のみ症状があらわれ、比較的軽度な状態で推移して、年齢が上がると共に改善していくケースもあるとされます。

一方、続発性レイノー症候群のほうは原因となる全身性強皮症や関節リウマチなどの膠原病や動脈硬化、甲状腺機能低下症などによってレイノー現象が引き起こされます。特に膠原病が原因疾患であることが多いとされます。原発性レイノー症候群よりも重い症状が出ることがあり、指の浮腫や皮膚の硬化、指先の潰瘍を伴うこともあります。血管を収縮させる薬を使うことで、レイノー現象がさらに悪化することがあるとも言われています。

レイノー症候群の治療法は種類や症状の段階によって違うの?

発症原因がはっきりとわからない原発性レイノー症候群に対しては、レイノー現象が起こらないように頭や腕、足などを寒さから守ったり、興奮したときに症状があらわれる場合には弱い鎮静薬などを使ったりします。ニコチンが血管を収縮することから禁煙の徹底も必要です。また、カルシウム拮抗薬による投薬治療が行われることもあります。

続発性レイノー症候群の場合は、原因となる病気の治療を進めることが何より重要で、レイノー症候群の症状が強い場合には手術による治療が選択されることもあります。病気の進行によって症状が悪化し生活に支障が出ており、他の治療法では効果がない場合には、特定の交感神経をブロックしたり胸部や腰部の交感神経を切除する手術が行われるケースもあります。痛みがある場合には、局所麻酔薬を浸透させることによって交感神経をブロックする交感神経ブロック療法もあります。原因にかかわらず早期の治療開始が大切です。

おわりに:レイノー症候群のタイプを特定した上で、適切な治療を

原発性レイノー症候群か、それとも続発性レイノー症候群かによって治療法は異なります。そのため、まずはどちらのタイプのレイノー症候群なのかを特定することが大切です。該当する症状があれば、病院を受診するところから始めましょう。

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