糖尿病腎症はどんな病気? 症状・原因・治療法について

2017/12/21

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

糖尿病の合併症のひとつである「糖尿病腎症」とは、いったいどんな病気なのでしょうか。発症の原因と症状、治療法など全般的な情報をご紹介していきます。

糖尿病腎症とは?

糖尿病腎症は糖尿病の合併症のひとつで、高血糖の状態が続くことで腎臓機能が十分に動かなくなるというものです。糖尿病腎症では、腎臓機能が弱くなるので尿が作れなくなります。しかし、急に排尿異常が出るのではなく段階を経て段々と悪くなるのですが、尿が作れないと体内に老廃物が溜まってしまう為、人工透析治療を行う必要があります。症状が進行すると腎不全に陥り、最悪の場合には命を落とします。

腎症の初期段階では自覚症状も殆どないので、定期的に検査を受けて腎臓の変化を確認することが大切です。初期段階の見分け方としては、タンパク尿が出ているかどうかです。タンパク尿であり、血糖値が高い結果が出た時には注意しましょう。

どんな症状が現われるの?

糖尿病腎症は病気の進行段階によって症状が異なります。

第1期、第2期の段階では自覚症状は殆どなく、尿の検査を定期的にすることが必要です。しかし症状が進行して第3期になると、むくみや息切れ、胸苦しさ、食欲不振や満腹感などの自覚症状が現れます。更に進んで第4期、第5期になると顔色が悪くなり、吐き気あるいは嘔吐、筋肉の強直、手の痺れや痛み、筋肉痛や骨の痛み、腹痛と発熱などが出てきます。

第3期以降になると、病気の進行を遅らせることは出来ても以前の状態に戻すことは出来なくなるため、第2期までの早期発見が非常に重要です。糖尿病患者さんは定期的に検尿を行いましょう。

糖尿病腎症は何が原因で発症するの?

糖尿病腎症は血液の流れと大きく関係した病気で、糖尿病による高血糖と高血圧が原因で発症します。糖尿病になると血糖値の高い状態が続きますが、高血糖状態の血液は糖分が混ざってどろどろな状態ですので、それが続くと腎臓の血管やその他の細小血管に大きな被害を与えることになります。

腎臓には糸球体と尿細管が濾過の役割を果たしており、ここに老廃物を運ぶ血液が送り込まれます。この糸球体と尿細管は二つ合わせてネフロンと呼ばれていて、腎臓内には約100万個あると言われています。このネフロンはザルのように網目によって必要・不必要な成分を分けますが、高血糖と高血圧によって腎臓の血管が壊れると、ネフロンの網目が大きくなり、必要な成分まで落ちてしまうようになります。

どんな治療法があるの?

糖尿病腎症を治療するには、血糖コントロールによる血糖値の正常化と、血圧コントロールによる血圧の正常化が不可欠で、これは全期を通して行われます。

特に第2期、第3期の段階で厳格な血糖コントロールを行うことが重要で、具体的にこれらのコントロールは食事制限と運動療法を通じて行いますが、糖尿病薬の服用やインスリンの注射も同時に行われます。

第4期になってしまうと、インスリン注射の投与とともに厳密な低タンパク食にする必要が出てきます。また、血液中のクレアチニンの量の増え方を見て、透析療法も取り入れます。

第5期になると尿を排出することが出来なくなってしまうので、透析治療や腎移植が必要になります。ただし、日本ではまだ臓器提供が少ないので移植事例も少ないという問題があります。

おわりに:定期的な尿検査で早期発見を

糖尿病腎症は症状がある程度進行してしまうと、腎機能を回復させることが難しくなり、透析治療や腎移植が必要になってしまう可能性があります。初期段階での発見が非常に重要なので、定期的な尿検査を欠かさず行うようにしましょう。

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