記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/13 記事改定日: 2019/4/15
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高熱や呼吸困難、多臓器不全などを引き起こし、死につながることもあるレジオネラ症。発症を防ぐには、原因菌である「レジオネラ菌」への対策が不可欠ですが、具体的にどんなことをすればいいのでしょうか。ポイントをまとめました。
レジオネラ菌は原生動物に寄生し、河川や湖など自然環境下で発生する細菌です。菌にはかなりの種類があり、すべてを総括してレジオネラ属菌と呼びます。
レジオネラ属菌は、低温では20℃、高温では50℃ほどで繁殖し、特に成長に適しているのが36℃前後とされています。自然環境下以外でも、冷却塔(ビルの空調や冷暖房を調整する、冷凍機の冷却水を冷却する装置)や循環式浴槽などの水を貯めて置く場所など、同じ水を続けて使う人工的な環境でも生息することが知られています。
レジオネラ菌は、レジオネラ菌を含む霧状の水を直接口から吸い込むことで感染します。レジオネラ菌の感染は初夏から秋が多く、感染してから2日から10日ほどの潜伏期間を経て、高熱や意識障害など深刻な症状へと進行していきます。
レジオネラ症は、レジオネラ属菌という細菌が原因で起こる感染症で、2つのタイプがあります。それは「レジオネラ肺炎」と「ポンティアック熱」です。
ポンティアック熱は潜伏期間が1日から2日で、発熱や頭痛、筋肉痛などインフルエンザに似た軽い症状が出ます。
一方、問題となるのはレジオネラ肺炎です。レジオネラ菌によって肺炎を起こし、高熱や胸の痛み・呼吸困難・吐き気や意識障害・腎障害や多臓器不全など、急激に重症化して最悪の場合は死に至るケースもあります。感染して死亡するケースはおよそ15%から30%といわれますが、治療が遅れてしまうことで死亡率は半数以上となります。
このレジオネラ菌による感染は、子供や高齢者、すでに疾患がある方や抵抗力が弱い方に多いです。レジオネラ菌は人から人へ空気感染することはありませんが、汚染された水の感染源から複数の人が発症し拡大していく危険性があります。
レジオネラは自然の川や土壌などに生息している病原体です。特にエアロゾルが発生するような水の中で繁殖しやすいのが特徴で、家庭では以下のような対策を行うようにしましょう。
冷却塔や循環式浴槽、加湿器など、レジオネラ菌が繁殖しやすい場所はある程度特定されています。これらの装置をこまめに掃除・管理し、レジオネラ菌の感染を防ぎましょう。