線維筋痛症の漢方薬治療が増えている理由とは?どんな薬が有効なの?

2017/12/13 記事改定日: 2018/4/17
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

全身の激しい痛みや、痛みによる不眠を引き起こす「線維筋痛症」。中高年の方に多くみられる症状ですが、いま、この線維筋痛症の治療では漢方薬が使われることが増えているといわれています。その理由とは一体何なのでしょうか?
有効とされる漢方薬や運動療法についてもあわせて紹介していくので、治療を進めるうえで参考にしてください。

線維筋痛症で漢方薬を使うことが増えている理由とは

根本的な治療方法が見つかっていない線維筋痛症ですが、最近は漢方薬による治療が併用して行われることが多くなっています。実は繊維筋痛症の治療は、漢方では古くから行われてきました。

現代医学と漢方医学では治療に対する考え方が根本的に異なり、漢方医学では、線維筋痛症は血の巡りと密接な関係があると考えられています。この痛みの症状を改善するのに、漢方医学は向いている治療法とされているのです。

漢方では「経絡(けいらく)」と呼ばれる気と血の通り道をとても大切に考えます。経絡は血管や神経のように目に見えるものではないので、現代医学では存在を確認することは出来ませんが、漢方では非常に重要なものととらえられています。

なお、線維筋痛症はその痛みを抑えるために鎮痛薬を複数処方されることがありますが、漢方薬を併用することで、鎮痛薬の数を減らしていくことも期待できます。

効果的な漢方薬:桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)

線維筋痛症の症状改善に効果的とされている漢方薬としては、まず桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)が挙げられます。桂枝加朮附湯は冷えが原因で起こる症状を和らげる漢方薬で、体を内側から温める効果があり、冷えている気を身体の外に追い出し、痛みを和らげるといわれています。

効果的な漢方薬:当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

次に挙げられるのが当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)です。当帰芍薬散には身体のむくみを改善することで冷えの解消を行います。冷えが改善されることで全身に栄養が行き渡ることとなるのです。

その他の漢方薬

ほかには症状に応じて、ストレスによる不眠を解消する効果があるとされる柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)や、胃腸の働きを良くして栄養分の消化吸収を助けるといわれる十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)が処方されることがあります。

漢方薬にも副作用はあるの?

漢方薬は市販されており、一般的にも広く使われているため、副作用がないと思われがちです。しかし、漢方薬も「薬物」である以上、私たちにとって有害な副作用を引き起こすこともあります。
線維筋痛症で使用される漢方薬にも副作用があり、桂枝加朮附湯は甘草やグリチルリチンを含む薬と併用すると、カリウムの排出が過度に促進され、体内に水分が溜まることで高血圧やむくみなどが生じやすくなります。また、発疹やかゆみなどのアレルギー症状、動悸、のぼせなどの副作用も報告されています。
一方、当帰芍薬散はアレルギー症状の他に、肝機能障害、食欲不振や胃部不快感などの消化器症状を起こすことがあります。
漢方薬はこのような副作用を起こすことがありますので、使用するときは必ず医師に相談しましょう。

線維筋痛症の治療の難しさ ― 早期の治療が大切な理由とは

線維筋痛症とは身体の至る所に激しい痛みが起こる病気です。痛みの程度は軽度から激痛までありますが、耐えることが出来ないくらいの痛みを伴うことも多く、痛みの場所が移動したり、天候によって痛みの感じ方が変わることがあるという特徴もあります。

線維筋痛症は男性よりも女性に多い傾向があり、中高年の人に多く見られます。実はこの病気の原因となるものははっきりとはわかっていません。しかし、脳が痛みを感じる機能に異常が起きているのではないかといわれています。脳には痛みの信号を伝えるアクセルとブレーキの働きをする機能があります。しかしこの機能に誤作動が生じることで、大した痛みでもないのに強く痛みを感じてしまうことが起きるとされているのです。

線維筋痛症の治療の難しさは、原因がよくわからないためにすべての人に効くという治療法が確立されていないことです。
そのためにいろいろなアプローチによって治療を行っていく必要があり、痛みが強い患者さんには、まずは薬物療法によって痛みを和らげていきます。

その後、運動が可能な場合は運動療法、痛みによる精神的な症状には心理療法、脳が痛みを誤認してしまうことを改善するための認知行動療法などを行っていきます。このように、線維筋痛症の根本的な治療ができる特効薬というものがないために、治療の方向性としては少しでも症状が和らぐ方法を医師と一緒に見つけていくことが大切といわれています。

線維筋痛症は激しい痛みに加えて、倦怠感や睡眠障害やうつ状態を引き起こすこともあるので、なるべく早く治療を始めることが重要です。

西洋医学の治療薬

線維筋痛症は発症のメカニズムが解明されていないため、病気を感知させる治療方法はありません。2012年には治療は、神経伝達物質を抑制する効果のあるリリカ®が線維筋痛症に対して使用されるようになり、今では治療の第一選択です。しかし、リリカ®でも症状が改善しない例は多々あり、様々な症状に対する対処療法が行われます。その中で西洋医学的な投薬治療は最も高い割合を占めています。

一般的に、線維筋痛症による痛みやこわばりにはNSAIDsやステロイドなどの消炎作用がある鎮痛薬は効果がないとされています。痛みがひどく、日常生活に支障を来たすレベルになると、麻薬が用いられることもありますが、効果は人によって異なります。
また、精神症状に対しては抗うつ薬や抗不安薬などが用いられることが多いです。

運動療法の目的とは

線維筋痛症では、投薬治療と並行して運動療法が行われることが一般的です。
線維筋痛症の人は、痛みやこわばりのため、積極的な運動だけでなく、日常の動作も制限されていることがあります。このため、筋力の低下や拘縮などが生じるだけでなく、活動性の低下による抑うつ状態を引き起こします。

それらを予防するために、線維筋痛症の治療ではそれぞれに合った無理のない運動療法がすすめられているのです。主にウォーキングやエアロビクス、水泳などの有酸素運動が取り入れられ、運動を行えない場合にはマッサージやストレッチで筋肉の柔軟性を維持するリハビリが行われます。

おわりに:現代医学とは異なるアプローチで症状が改善するケースも

漢方医学では、血の巡りの悪さが原因で線維筋痛症は引き起こされると考えられています。そのため、冷えを解消する漢方薬を服用することによって、症状が改善する患者さんも少なくないようです。気になる方は、漢方薬の処方について一度医師と相談されることをおすすめします。

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