レイノー病の原因は寒さや緊張って本当?!

2018/2/1

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

寒さや緊張、ストレスなどがきっかけで指が冷えたりしびれたり、色が変わったりすることをレイノー現象といいます。原因疾患がないものをレイノー病といいますが、レイノー原因は本当に寒さや緊張なのでしょうか。レイノー病の治療方法とあわせて解説します。

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レイノー病とは?

動脈は生活環境の変化に合わせて常に拡張と収縮を繰り返しています。
何らかの原因で動脈が過剰収縮を起こし、手足の先まで血流が行き届かなくなることで、強い冷えや痛み、しびれ、肌色の変化を起こすことをレイノー現象といいます。レイノー病とは、レイノー現象を起こす原因疾患がないものであり、レイノー現象以外の症状がみられないものになります。

40歳くらいまでの体力の弱い女性に多く見られ、特に原因となる疾患もなく、予後は良好なため緊急処置は必要ありません。通常であれば10分から30分程度で正常な状態まで回復しますが、まれに症状が戻らず、指先の潰瘍や変形が起こることがあります。また、左右対称に症状が現れることが特徴です。

ちなみに、膠原病や振動的外傷といった原因疾患によってレイノー現象が起こっているものは、レイノー症候群と呼ばれています。こちらは基礎疾患の重さによっては、組織の壊死や皮膚硬化に移行する危険性も高く、年齢や性別によって発症率が変化することもありません。症状は左右非対称であり、どちらかだけに起こることもあります。

レイノー病の原因は寒さや緊張?

レイノー病は、秋から冬にかけて症状が見られることが多く、気温の低下が影響するといわれています。また、精神面や肉体的なストレス・喫煙により動脈が異常収縮することや自律神経の異常が関係しているともいわれていますが、残念ながら明確にはわかっていません。

ただし、身体を温めてやったり、禁煙したり、十分な睡眠を取って副交感神経を優位にすることで症状の改善がみられるため、上記で説明したように寒さや自律神経機能が発症に関わっている可能性は高いといえるでしょう。

レイノー病は治せるの?

上記でも触れたように、レイノー病を根本治癒する方法は未だ確立されていません。そのため、対症療法で治療していきます。
まずは、寒さやストレス、タバコなど、発症の原因と思われるものを避けることから治療が始まります。また副交感神経を優位にするために、睡眠をしっかりとるように心がけることも大切です。

日常生活での対処で改善しない場合は、カルシウム拮抗剤やプロスタグランジン製剤などの血管拡張剤が使用されます。また、ニコチン酸系薬で中性脂肪やコレステロールの減少させて血流改善を目指したり、交感神経ブロックで血管の収縮を抑制する治療を行う場合もあります。

上記の治療で改善しないものについては、交感神経遮断術が検討されます。

おわりに:レイノー病は寒さやストレスを避けることが大切。ただし、まずは医師への相談が必要

レイノー病は、寒さや緊張などをきっかけに、手の指などが冷えたりしびれたり色が変化する病気です。この症状のことをレイノー現象と呼び、レイノー病は原因疾患がなくレイノー現象が起こるものをいいます。原因不明ではありますが、寒さやストレス、タバコを避けることで症状軽減が目指せるといわれています。
ただし、原因疾患から起こるレイノー症候群の場合は、原因になる病気の治療が必要です。レイノー現象が疑われる症状が出たときは、専門の医療機関で検査することをおすすめします。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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