1型糖尿病の運動療法と注意点を知ろう!

2018/1/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

1型糖尿病の患者さんは、セルフケアとして食事療法だけでなく、運動療法が推奨されることがあります。では、運動療法では、具体的にどんな運動をすればいいのでしょうか。注意点と併せてお伝えしていきます。

1型糖尿病で運動療法が推奨される理由は?

糖尿病治療において、運動療法は食事療法と並んで基本的なものです。運動療法は、一般的には2型糖尿病に効果がある治療法といわれていますが、1型糖尿病でも推奨されており、理由としては、まず運動をすることで血液中のブドウ糖が筋肉に溶け込まれやすくなり、ブドウ糖、脂肪酸の利用が促進され、血糖値が下がることがあります。また、外から補給をしているインスリンの働きを高める効果もあります。

他に、減量効果や肥満防止、高血圧や脂質異常症の改善、筋肉のおとろえや萎縮・骨粗鬆症の予防、血液循環が良くなることで全身的な健康づくり、関節や骨が太くなることで抹消血管が太くなり、心臓や肺機能の向上、筋力や体力の増強、ストレス解消などが推奨される理由になっています。

どんな運動が効果的なの?

一般的な運動療法には、有酸素運動とレジスタンス運動の2つがありますが、1型糖尿病の場合には有酸素運動の方が適しており、持続して行うことでインスリンの働きを活性化することができます。

おすすめの運動メニューは大きく4つあり、1例として体重60kgの人が100kcalを消費する場合、まず軽い運動として30分前後の散歩と体操を行う必要があります。2つ目となるやや強い運動では、速歩によるウォーキング25分前後、平地での自転車20分前後、ゴルフ20分前後が内容になります。3つ目の強い運動では、強いジョギング10分程度、上り坂でのサイクリング10分前後、テニス10分前後、4つ目の激しい運動としては、5分前後のクロールでの水泳となります。

運動時に注意が必要なポイントについて

1型糖尿病での運動療法では、準備運動と整理運動、少しずつ運動量を増やすこと、体調に合わせて無理をしないこと、続けられる運動を選ぶこと、運動前後の血糖値や尿酸をときどき測ることが原則となります。

1型糖尿病で注意が必要な点としては、食後1~3時間に実施をすること、運動量が大きい場合には運動前のインスリンを減量すること、運動前・中・後に捕食をすることがあります。

特に、運動中の低血糖対策や水分補給は重要になります。行う際には、角砂糖やスティックシュガー、ブドウ糖、ショ糖を多く含むジュースなどを携帯し、低血糖に備える必要があります。

また、体内の水分が失われることで脱水状態になり、血液粘度が増すために、水やお茶などでこまめな水分補給をすることも大切になります。

運動療法が禁止・制限されることもあるって本当?

1型糖尿病患者さんの運動療法では、禁止・制限される場合があることも把握しておくことが重要です。

まず制限した方がいいケースとしては、単純網膜症がある場合、重症の高血圧がある場合(収縮期180mmHg以上・拡張期110mmHg以上)、骨・関節疾患など整形外科的問題がある場合、糖尿病壊疽がある場合が該当します。

次に運動が禁止されるケースとしては、眼底出血または可能性の高い増殖網膜症・増殖前網膜症、レーザー光凝固後3~6カ月以内の網膜症、第3B期以降の腎症、心筋梗塞など重篤な心血管系障害がある場合、高度の糖尿病自律神経障害がある場合、ケトーシスがある場合、代謝コントロールが極端に悪い場合、急性感染症(インフルエンザ等)を発症している場合が該当し、事前に専門医の意見を聴くことが大切になります。

おわりに:運動前に必ず主治医に確認を

インスリン治療の効果を上げるために、運動療法は効果的と考えられています。ただし、合併症や症状によっては運動内容が制限されるケースもあるので、目安となる運動基準に関しては、必ず主治医の確認をとるようにしてください。

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