2型糖尿病を放置すると合併症が起こりやすい理由は?

2018/3/7

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

日本人の糖尿病の大多数を占める「2型糖尿病」。この2型糖尿病は、放置すると合併症が起こりやすいとされています。その理由とは何でしょうか。

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2型糖尿病を放置するとどうなる?

糖尿病には大きく分けて1型と2型の2つが存在しますが、2型糖尿病は1型のような遺伝といった先天的な要素と違い、主に生活習慣が関係して発症する糖尿病です。

2型糖尿病では、かすみ目や眠気、疲労感、排尿の増加、強い空腹感などの初期症状が現れます。そのまま対策を怠ると合併症が現れ、自分の体内の血糖値をコントロールできない状態へ進行してしまいます。すると体の組織自体に異常をきたし、最終的には死に繋がることがあります。

血糖値が高いと合併症が引き起こされるのは何故?

そもそも、2型糖尿病は主に中年期に起こる糖尿病です。若い頃と比べ代謝や運動量が減っているにも関わらず、摂取カロリーが変わらずにいると、体内の糖が消費されず、血糖値が高い状態が続いてしまいます。

この高血糖状態が続くと、細い血管が詰まったり、血管からさまざまな物質が漏れる現象が起きるため、細小血管などが張り巡らされている網膜や腎臓などの組織にも悪影響を起こす流れになります。それが顕在化した症状が合併症です。

合併症が現れた場合、2型糖尿病が進行してしまっている状態にあるため、早期に治療と対策を行うことが必要です。

糖尿病の三大合併症とは?

糖尿病の三大合併症とは、糖尿病性網膜症・糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症です。

糖尿病性網膜症は、血行障害によって眼底の血管が詰まったことで発症する合併症で、視力が低下したり、最悪の場合は失明にいたります。

次に糖尿病性神経障害とは、持続的な高血糖によって手足の血行が悪化し、神経障害が起こった状態です。しびれや感覚の低下が主な症状で、深刻な場合は壊疽により下肢切断を余儀なくされることもあります。

そして糖尿病性腎症とは、高血糖によって腎臓のフィルターが詰まり、血液のろ過ができなくなってしまう状態です。人工透析が必要となる場合もあります。

適切な治療で合併症を予防しよう!

糖尿病の合併症は、いずれも高血糖の状態が持続したことが原因で起こるものです。つまり、日々の血糖コントロールこそが合併症予防の鍵を握ります。高カロリーな食事は控え、栄養バランスのとれた食生活や、日常的な運動を心がけましょう。

なお、合併症の中でも糖尿病性神経障害は発症率が高いので要注意です。異常は足に出る場合が多いため、毎日欠かさずに足の状態を診断しましょう。しびれなどの異常が現れた場合には、直ちに病院を受診することも大切です。

おわりに:2型糖尿病による高血糖が長期化すると、さまざまな異常につながる恐れが

2型糖尿病を放置すると高血糖の状態が続き、体のあらゆる機能に異常が現れるようになります。2型糖尿病の発症は生活習慣の乱れと大きく関連しています。糖尿病の悪化と合併症を防ぐために、まずは生活習慣の改善を心がけましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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