双極性障害で仕事が続かない…復帰時におすすめの仕事は?職場でできる配慮は?

2017/12/25 記事改定日: 2018/4/2
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

躁状態とうつ状態を繰り返す「双極性障害」の患者さんは、気分のコントロールが難しく、仕事が困難になってしまうケースも少なくありません。今回は、そんな双極性障害の患者さんが仕事選びで重視すべきポイントや休むべきタイミング、そして再発防止のために職場側でできる配慮についてご紹介していきます。

双極性障害の人におすすめの仕事は?

まず、双極性障害は、極端な2面性を持つ気分障害です。気分が上がってハイテンションになる躁状態と、気分が落ち込んで何もやる気にならないうつ状態の2つの側面を持ち、これを繰り返すことが双極性障害の特徴となります。双極性障害では、それぞれの状態のときに気を付けなければならないことがありますし、本人だけではなく周りからの配慮も重要になります。

双極性障害は自分1人でコントロールすることは難しい上に、躁状態とうつ状態では仕事に取り組む姿勢や出来が全然違ってきます。一定の仕事をこなすことができないということだけではなく、その時の状態によって人間関係にトラブルを起こしてしまう恐れもあるため、社会復帰が容易ではない傾向があるのです。

そして双極性障害が回復して社会復帰をする際に、考えなければならないのが「どんな仕事をするのか」ということですが、適していると考えられる仕事は、なるべくストレスや負担がかからない仕事です。人間関係が複雑ではなく、自分のペースで仕事ができたり、ある程度業務内容が定まっているものであれば安定して働きやすいでしょう。たとえば1人で黙々と取り組むデータ入力や在庫管理・仕分け、清掃というような業務が適していると言えます。不安であればまず最初は短時間での労働から挑戦し、自信がついたら長時間や長期の仕事に切り替えると良いでしょう。

また、重要なのが「生活リズムが一定になる仕事か」という点です。双極性障害の患者さんは、生活リズムが乱れると気分の波も乱れてしまうことがあります。このため、仕事とプライベートの時間をバランスよく割ける、自分のペースが保てる仕事を選ぶことが重要です。

双極性障害の人は避けた方がいい仕事は?

双極性障害は再発しないわけではありません。頑張って治療をして社会復帰をしたとしても、耐えられないほどの不安やストレスなどに見舞われると再び双極性障害となってしまう可能性もあるのです。そのためなるべくストレスを感じにくいような仕事を選ぶことが最適なのですが、実際に自分がどんなものがストレスを感じやすいのかということも知っておくことが大切です。

一般的に、双極性障害の人におすすめできない仕事は、「生活リズムが不規則になる仕事」「仕事やプライベートの予定が立てられない仕事」です。具体的には、まず、夜勤やシフト制など勤務時間が変動する仕事はおすすめできません。勤務時間が定まっていない仕事は、上手に体を休められないので疲れが蓄積しやすくなります。

また、長時間労働の仕事は避けたほうがいいです。どんな仕事内容であれ拘束時間が長いというのはストレスになります。そして納期やノルマに追われる仕事、予定外の業務が入ってくる仕事、様々な人を対応しなければならない接客業などもストレスがたまりやすいので、双極性障害を経験している人は避けた方が良いでしょう。

双極性障害の人が仕事に復帰するにはどのくらいかかる?

特に、実家暮らしではない患者さんにとって、働いていない状態はとても不安なものです。生活をしていくための収入がないので、「早く仕事に復帰したい」と気持ちが焦ってしまう人も多いのですが、こうした不安や焦りがより双極性障害の症状を悪化させてしまう可能性もあります。まずは2~3年は療養期間と考えた方が良いでしょう。もちろん症状によってはもっと早くに社会復帰をすることができる人もいますし、5年以上かかってしまう人もいます。あまり焦らず治療に専念することが社会復帰への近道です。

もちろん、仕事ができる程度に回復したからと言って油断してはなりません。また再発するのではないかという不安や、社会の辛さに耐えられるかどうかという不安から消極的になってしまいやすいので、社会復帰をしたからと言って無理をしないよう心掛けることも大切です。

双極性障害の人は「仕事を休む」ことも重要

双極性障害の患者さんは、うつ状態が悪化してしまうと、集中力が維持できずにミスを連発してしまったり、あるいは躁状態が悪化してしまうと、気分を抑制できず職場内や取引先でトラブルを起こしたりする恐れがあります。自分自身でなんとなく調子が悪いように感じていたり、医師から休職を勧められたりした場合は、社会的信用を失う前に仕事を休むことも重要です。

特に躁状態になると、本人は無自覚のうちに大きなトラブルを引き起こし、後々ひどく後悔することがあるので、定期的に通院を続け、医師に客観的に様子を見てもらうことが大切になります。

双極性障害の人へ職場でできる配慮は?

双極性障害の患者さんは、自分で気分の抑制ができず苦しんでいることが多いです。まず、この双極性障害という病気に対して理解を深め、生活リズムが一定になるような仕事を割り振るようにしましょう。患者さんがどんなことにストレスを感じているかを把握し、なるべく本人にとって精神的・肉体的負荷の少ない業務調整をするのが理想です。なお、双極性障害の患者さんの多くは精神科の薬を服薬するため、危険業務や運転業務など事故のリスクがある仕事を割り振るのは絶対にやめてください。

また、患者さんの様子を観察したり、あるいは直属の上司と日々連携をとったりすることで、異変があればいち早く気づくことも大切です。急にバリバリと仕事をこなしているように見えても、実は躁状態になっている可能性があります。この場合は本人が自覚できていないことが多いので、産業医などに相談し、治療に入るよう促してください。

おわりに:焦らず無理なく、病気と仕事に向き合っていこう

双極性障害は一度発症すると仕事に復帰できる状態になるまでに長い期間を要するだけでなく、復帰後もストレスが溜まると、症状が再発・悪化しやすくなる側面があります。患者さん本人は焦らず自分に合った仕事を探し、無理なく病気や仕事と付き合っていく心構えを、そして職場側は患者さんが安定して仕事を続けられるような配慮を、それぞれ持つことが大切です。

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