記事監修医師
城本クリニック、総院長
森上和樹 先生
2018/4/12
記事監修医師
城本クリニック、総院長
森上和樹 先生
まぶたが垂れ下がってしまう「眼瞼下垂」。主に手術で治療が行われますが、手術後、目へのトラブルや変化などはあるのでしょうか?以降でご紹介していきます。
眼瞼下垂(がんけんかすい)の手術には、切開をして行う方法が多く行われています(原因により、手術方法が幾つかあります)。切開をしないで行う方法もありますが、後戻りもあり、慎重に選ばなければなりません。最も多様される切開手術の内容は、まぶたの二重のラインに沿って切開し、瞼板という軟骨を見つけて、眼瞼挙筋腱膜を適正な位置にて瞼板に縫い付ける方法です。一方の切開をしないで行う方法は、埋没式拳筋短縮法という治療法です。ゆるんでしまった眼瞼挙筋腱膜を糸で釣り上げ、瞼板に固定します。
手術後は、まぶたがぱっちり開くようになります。もともと目が大きい人はさらにぱっちりした目になります。また、おでこの筋肉を使わなくても目が開くようになるので、おでこのしわが消え、釣り上がっていた眉毛も下がるという効果も期待できます
手術後翌日は、まぶたが相当腫れあがります。数日間はまぶたの腫れが続きますが、やがて腫れは引いていきます。ほかに2週間程度、まぶたがむくむことがありますが、これも時間の経過とともに改善されます。
また、1~2週間は内出血することがありますが、時間がたつと共に薄く黄色くなっていき、やがて消失していきます。
だいたい2~3ヵ月もたつと、すべての症状が落ち着いてきます。
人によっては眼瞼下垂(がんけんかすい)の手術後に目の変化を感じることがあります。ドライアイの症状は特に多い症状です。今までまぶたに覆いかぶれていた眼球が、手術により改善され、広く露出されるようになります。そのため、目が以前より乾きやすいと感じる人が増えます。症状が気になるようであれば、ドライアイに対応する目薬を処方してもらうと良いでしょう。術後しばらくすると、落ち着いてくるのが普通です。
また、目の違和感を感じるという人も多くいます。瞼板に縫い付けた糸がゆがんだり、へこんだりして眼球を刺激したことが原因で引き起こされます。どうしても気になる場合、縫った糸を除去することもあります。
眼瞼下垂の手術中、左右の目の開きや大きさに差が出ないように医師は十分注意をしますが、結果として左右差が生じることがあります。左右差が少しであれば、経過観察ということで様子を見るのが一般的ですが、あまりに左右差がある場合には、術後1週間の抜糸の時に、抜糸により修正することもあります。その時点で2mm以上の左右差がある場合は、抜糸時に修正することが多いです。9割近くは、様子を見ているうちに、左右差がなくなってくることが多いです。
しかし、症状が落ち着く3~4ヵ月程度まで様子を見ても、左右差が改善されない場合には、修正手術をすることもあります。ただし再手術に関しては、最初の術後最低3ヵ月たってから受けた方が良いです。
瞼下垂の手術後は、ドライアイやまぶたの腫れ、目の開きの左右差など、さまざまな問題が出てくることがあります。いずれも時間の経過とともに改善するケースがほとんどですが、眼瞼挙筋の腱膜が瞼板からはずれている場合、その機能が十分発揮できなくなります。もし治らない場合は、手術をした病院を再受診するようにしてください。