腰痛の原因は悪い姿勢!? 理想的な座り方や立ち方、寝方とは?

2018/2/19 記事改定日: 2018/3/26
記事改定回数:2回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

猫背や腰に負担がかかる座り方など悪い姿勢を続けていると、腰痛が引き起こされることがあります。では、座り方や立ち方、また寝るときなどはどんな姿勢をしたほうがいいのでしょうか?以降で解説します。

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姿勢が悪いと腰痛になる!?

激しいスポーツをした後や、いきなり重いものを持ったときなど、腰痛の原因はさまざまですが、普段の姿勢が原因で腰痛が引き起こされているケースも少なくありません。

そもそも腰の骨は、椎骨という骨が重なってできていて、この椎骨は腰から首までつながっており「脊柱(背骨)」とも呼ばれます。もともと脊柱は腰から首までまっすぐ伸びているのではなく、負担を分散するために腰、胸、首のあたりで少しずつ湾曲していますが、悪い姿勢を続けることで過度に弯曲すると椎間板(椎骨と椎骨の間でクッションの役割をしている軟骨)に大きな負担がかかり、椎間板の厚さが減少し、脊椎が変形することで、腰痛を引き起こすようになるのです。

具体的にどんなときの姿勢に気をつければいいかについては、以降を参考にしてください。

姿勢で腰痛を改善:①座り方をチェックしよう

座っている間は腹筋が緩むため、腰や背中の筋肉、脊柱や椎間板が上半身の体重を支えます。このため、座っているときが最も腰に負担がかかると言われています。NGな座り方は、椅子に浅く座る、背もたれに寄りかかる、足を投げ出すように座る、といった座り方です。腰の骨が直線に近い形になってしまい、正常な脊柱の彎曲を妨げる姿勢となっています。

座るときは、股関節と膝頭を水平にし、足の裏を床につけ、腹筋に少し力を入れるような感じで、背骨と首をしっかり伸ばした状態で座りましょう。

なお、PC業務などデスクワークの方は、机の高さやPCのモニターの位置を調整することも大切です。机やモニターの位置が高すぎたり低すぎたりすると、つい前かがみになってしまい、姿勢が悪くなって腰痛を起こしやすくします。PCのモニターは目線の高さに合わせ、キーボードに位置は両腕を前にやったときに届くくらいの位置に調整してください。

姿勢で腰痛を改善:②猫背をやめよう

主に猫背などの立ち姿も、腰痛の主要原因です。猫背は背中が丸まっている状態のことをいいます。先述の通り、胸の部分の背骨(胸椎)は、正常な状態でも後ろにやや湾曲していますが、その湾曲が強くなり、頭や肩が前に出てしまっている状態のことを猫背と呼びます。猫背の状態には個人差がありますが、立っている状態を横からチェックすることで猫背かどうかを確かめることができます。

猫背になると背骨の理想的なS字カーブのラインが崩れてしまい、腰や頸など背骨に大きな負担がかかってしまう場合があります。腰にかかる負担が大きくなれば、それだけ腰痛になる可能性も高くなるといえるでしょう。また、猫背になって背骨が歪むと、重心のバランスが乱れて骨盤が傾き、腰に負担がかかってしまう場合があります。

一般的には、骨盤が前に傾いている(骨盤前傾)になると、腰が反った状態(反り腰)になりやすいといわれています。腰が反り過ぎた状態が長く続くことで過剰な負担が腰にかかってしまい腰痛を起こしやすくなります。反対に、骨盤が後ろに丸まりやすくなる骨盤後傾でも、腰に多大な負担をかかるため腰痛のリスクが高まるといわれています。

猫背の方は、普段から良い立ち姿勢を心がけましょう。正しい立ち姿勢とは、両足に均等に体重がかかっており、背骨と頭がまっすぐ伸びている状態です。座り方と同様に、腹筋に少し力を入れるように意識しましょう。猫背の場合、首から頭が前に出て背中が丸まり、あごが少し上がった状態になっています。

猫背はスタイルを崩す原因にも

猫背の状態が長期的に続くことにより、肩や首のこりなどの原因になったり、内臓へ負担がかかったり、呼吸が浅くなったりなど、さまざまな影響が現れるといわれています。ただし、ただ猫背というだけで必ずしも上記のような影響が出るわけではありません。

猫背の度合いによって、どの程度体に悪影響が起こるかについては明らかになっているわけではないので、あまり深刻に悩む必要はないかもしれません。ただし、猫背の人に肩こりや腰痛の人が多く、病気などが原因で猫背になることもあるので、周囲の人に指摘されたときや、明らかに他の人より背骨が曲がっていると気づいた場合は、整形外科に相談してみましょう。

また、猫背が原因でスタイルが崩れやすくなるという情報を目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。「良いスタイル」という定義には人によって違うので一概には言えませんが、猫背で背中が丸くなると自然に胸も前下方に向くようになってしまうため、バストトップが下向きになり、トップの位置も下がってしまいます。バストトップが落ちれば当然バストの形は悪くなりますし、脂肪も重力に負けて落ちやすくなるのでウエストラインが崩れる可能性があります。

その他、猫背の人は前傾姿勢になりやすいので、お尻の筋肉をうまく使えなくなり、ヒップが落ちやすくなるともいわれています。

姿勢で腰痛を改善:③寝方を変えよう

寝方も腰痛の原因となることがあります。例えば、うつ伏せは腰が沿った状態になるため、腰への負担となります。同じ体勢で眠り続けることもよくありません。一箇所にばかり負担がかかる恐れがあるからです。また、枕の高さが合っていなかったり、柔らかすぎるマットレスを使っていたりしても、腰への負担が大きくなり、腰痛が引き起こされることもあります。

腰痛の方におすすめの寝方は、赤ちゃんのような横向きの胎児姿勢で寝ることです。腰の前弯が緩和され、痛みが楽になります。ゆっくりと息を吐きながら、両膝を抱えるようにして眠るのがコツです。膝の間にクッションを挟むのもいいでしょう。

なお、仰向けの姿勢で寝ると、寝返りが打てずに一点に負担が集中したり、腰痛で起き上がれなくなる恐れがあるので注意してください。また、枕や敷き布団などがご自身に合っているかも今一度確認してみてください。

おわりに:悪い姿勢の積み重ねは腰痛の原因に。普段の姿勢を見直そう

若い頃から間違った座り方や猫背を続けていると、加齢とともに腰痛の発症リスクが上がってしまいます。腰痛の方もそうでない方も、予防のために、これを機に正しい姿勢を心がけてください。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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