下肢静脈瘤の種類と検査法を解説します!

2017/12/25

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

足の静脈が瘤のように膨らむ「下肢静脈瘤」には、実はいくつかの種類があります。今回の記事では、その詳しい種類や検査方法についてご紹介していきます。

下肢静脈瘤の基礎知識

足の血管は重力に逆らって足先の血液を心臓に戻さなくてはいけないため、血液が逆流しないように弁がついています。その弁の働きが正常に行われなくなり、血液が逆流したりして血液が一部に溜まってしまうものが下肢静脈瘤です。

弁が壊れる原因は遺伝や妊娠、出産、長時間の立ち仕事などです。そのため、朝方は症状がなくても昼から夜にかけて症状が強くなるという傾向があります。下肢静脈瘤はそれが元になり命を落とすような病気ではないので、すぐに治療を行わなくても大丈夫ですが、自然に治ることはありません。放置したままで悪化してしまうと足のだるさやむくみが強くなったり、見た目の問題が出てきます。ひどくなると下肢静脈瘤から皮膚炎や潰瘍ができ、出血することもあります。

下肢静脈瘤の種類と特徴について

下肢静脈瘤にはいくつかの種類があります。

まず、最も多くできる下肢静脈瘤は大伏在(だいふくざい)静脈瘤です。この血管は足首の内側から上に伸びていき、足の付け根で深部静脈に合流する表在静脈です。表在動脈というのは皮膚の表面近くにある静脈で、ひざ下から太ももの内側、ひざ下の外側、ふとももの背側に静脈瘤ができます。

次に多いのが小伏在(しょうふくざい)静脈瘤で、これはアキレス腱の外側から上に向かい、膝の裏で深部静脈合流する表在静脈です。ひざ下の後ろ側に静脈瘤ができます。

主にひざ下にできて小伏在静脈瘤よりも細かいことが多いのが側枝(そくし)静脈瘤です。これは伏在静脈から枝分かれした血管で、主に膝下に静脈瘤がみられます。伏在静脈瘤とくらべ少し細いのが特徴です。

ほかには、卵巣や子宮周囲の静脈から逆流してきた血液により作られる陰部静脈瘤があります。ぼこぼこした血管が足の付け根から太ももの裏側に向かって斜めに走っているのが特徴で、月経などで血行が増えると症状が強くあらわれます。

また、網目状静脈瘤もあります。これは細い静脈が網目状に広がっているもので、これよりも細い網目状の静脈瘤はクモの巣状静脈瘤といいます。

下肢静脈瘤の代表的な3種類の検査法とは?

下肢静脈瘤の検査では、血液の逆流があるかどうかを調べるドップラー血流計を使います。これを皮膚の上から血管に向かってあてて、ふくらはぎを手でつかむと血が上に押し上げられて音がします。この後に手を離して音がしなければ逆流はありません。音がした時には逆流しているということになります。

ほかに、カラードップラー検査もあります。基本的にはドップラー検査と同様の仕組みですが、検査で出たものがカラーで見られるのでわかりやすくなっています。

ほとんどすべての下肢静脈瘤はこれらの検査を行えば診断がつきますが、このほかに、足の静脈の機能を詳しく調べる容積脈波検査もあります。足にマンシェットというカバーを巻き、つま先運動を行って静脈の容積の変化をみます。負担の少ない検査ですが、どこに静脈瘤ができているかはわかりません。

「下肢静脈瘤」と診断されたら、放置せずにすぐ治療しよう!

下肢静脈瘤はそのままにしていても命の危険はありませんが、症状が進んでしまうことで様々なことが起こるようになります。まず静脈瘤ができている部位に溜まった血液がどんどん大きくなるので見た目上の問題が出てきますし、そのままにしていることで皮膚の中で血管が破れて内出血を起こし、色素沈着が起こります。またふくらはぎが酸素不足の状態になることで足がつったり、足の疲れがひどくなります。

ここからさらに症状が進むと、足の脂肪に沈着した鉄分が固まってきて皮膚が硬くなり、色素沈着で色は黒くなります。そのため少し触っただけで傷ができて治りにくくなり、潰瘍ができてしまいます。この状態が続くと次第に足は黒い棒のようになってしまい、寝たきりになってしまいます。下肢静脈瘤がここまでの状態になる前に早期発見をし、早期治療をすることが大切です。

おわりに:検査で下肢静脈瘤を早期発見しよう

下肢静脈瘤はいずれの種類であっても命にかかわるものではありませんが、放置しておくと色素沈着につながったり、寝たきりにつながったりする恐れがあります。検査で簡単に発見できるので、「もしかして?」と思ったら早めに病院を受診してください。

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