記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/25 記事改定日: 2019/4/5
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
足の静脈が瘤のように膨らむ「下肢静脈瘤」には、実はいくつかの種類があります。今回の記事では、その詳しい種類や検査方法についてご紹介していきます。
足の血管は重力に逆らって足先の血液を心臓に戻さなくてはいけないため、血液が逆流しないように弁がついています。その弁の働きが正常に行われなくなり、血液が逆流したりして血液が一部に溜まってしまうものが下肢静脈瘤です。
下肢静脈瘤にはいくつかの種類があります。
ほかには、卵巣や子宮周囲の静脈から逆流してきた血液により作られる陰部静脈瘤があります。ぼこぼこした血管が足の付け根から太ももの裏側に向かって斜めに走っているのが特徴で、月経などで血行が増えると症状が強くあらわれます。
また、網目状静脈瘤もあります。これは細い静脈が網目状に広がっているもので、これよりも細い網目状の静脈瘤はクモの巣状静脈瘤といいます。
下肢静脈瘤の検査では、血液の逆流があるかどうかを調べるドップラー血流計を使います。これを皮膚の上から血管に向かってあてて、ふくらはぎを手でつかむと血が上に押し上げられて音がします。この後に手を離して音がしなければ逆流はありません。音がした時には逆流しているということになります。
ほかに、カラードップラー検査もあります。基本的にはドップラー検査と同様の仕組みですが、検査で出たものがカラーで見られるのでわかりやすくなっています。
ほとんどの下肢静脈瘤はこれらの検査で診断がつきますが、このほかに、足の静脈の機能を詳しく調べる容積脈波検査をする場合もあります。これは足にマンシェットというカバーを巻き、つま先運動を行って静脈の容積の変化をみる検査です。
負担が少ないというメリットはありますが、どこに静脈瘤ができているかはわかりません。
下肢静脈瘤はそのままにしていても命の危険はありませんが、症状が進んでしまうことで様々なことが起こるようになります。まず静脈瘤ができている部位に溜まった血液がどんどん大きくなるので見た目上の問題が出てきますし、そのままにしていることで皮膚の中で血管が破れて内出血を起こし、色素沈着が起こります。またふくらはぎが酸素不足の状態になることで足がつったり、足の疲れがひどくなります。
ここからさらに症状が進むと、足の脂肪に沈着した鉄分が固まってきて皮膚が硬くなり、色素沈着で色は黒くなります。そのため少し触っただけで傷ができて治りにくくなり、潰瘍ができてしまいます。
この状態が続くと次第に足は黒い棒のようになってしまい、寝たきりになってしまいます。下肢静脈瘤がここまでの状態になる前に早期発見をし、早期治療をすることが大切です。
下肢静脈瘤では以下のような症状や身体の変化が現れます。当てはまる項目が多い人は悪化する前に病院を受診して、検査・治療を受けるようにしましょう。
下肢静脈瘤はいずれの種類であっても命にかかわるものではありませんが、放置しておくと色素沈着につながったり、寝たきりにつながったりする恐れがあります。検査で比較的簡単に発見できるので、「もしかして?」と思ったら早めに病院を受診してください。