ばね指って、指がどんな状態になることを言うの?放置するとどうなる?

2017/12/25 記事改定日: 2019/8/19
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

指を曲げたり伸ばしたりしようとすると途中でひっかかり、伸びたときにばねのように跳ね返るのが特徴の「ばね指」。このばね指は、自然治癒する可能性はあるのでしょうか?放置するとどんなリスクがあるのでしょうか?

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ばね指とは?

指を使いすぎていると、ばね指という指の腱鞘炎になることがあります。指の曲げ伸ばしがうまく行かなくなるだけでなく、痛みも出てくるようになったら要注意です。

指を曲げたり伸ばしたりするのに使われるのはという部分です。前腕にある筋肉から腱がその力を伝えることで、曲げたり伸ばしたりといった動作ができています。

普段はこの腱が浮き上がらないよう、靱帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)が押さえてくれていますが、手を使いすぎたりするとこの部分に負荷がかかり、炎症を起こすことがあります。そうなると腱がスムーズに滑走できなくなり、ひっかかる部分が出て、伸ばした際にばねがはじけるようになります。これがばね指の状態です。

ばね指になる原因は?

ばね指の主な原因は指の使いすぎで、パソコンや文字を書くことを仕事としている方に多い症状です。子育てや家事をする女性の方が多く、最近ではスマートフォンの使いすぎでばね指になる方もいます。また、スポーツ選手の中にも発症する方もいます。こうした人たちは普段から指への負担が大きく、動かすたびに摩擦のために炎症が進んでしまいます。

ほかに、ホルモンバランスの崩れで発症することも多く、出産後や更年期の女性も生じることがあります。これは、腱や腱鞘を柔軟にしてくれるはずのエストロゲンが減少することが原因です。

また、糖尿病やリウマチ・透析をされている方など、病気を患っている方にも多くみられる症状です。これらの病気の場合、化膿性腱鞘炎を引き起こし、その結果としてばね指を発症していることがあるのです。

ばね指を放置するとどうなる?

ばね指は放置していると、関節拘縮を起こして指が動きにくくなってしまうこともあります。関節の動かしにくさが次第に固定されてしまうのです。いったん関節拘縮までなると治療は大変難しいので、できれば指に違和感を感じたり、軽い痛みが出たりといった初期段階で治療を行うようにしましょう

放置しておくと、手術以外で治すことができなくなります。それ以前に指の曲げ伸ばしができず、無理に動かそうとすると激痛が走るようになるため、日常生活を送ることさえ困難になってしまいます。

ばね指は自然に治ることは?

単なる腱鞘炎の場合、しばらく安静にしておけば自然治癒します。しかしばね指の場合、自然治癒する可能性は低いです。なぜなら、日常生活において指を動かすことなく安静にしておくのは難しいからです。ご飯を食べるにしてもお箸やお皿を指でつかまなければなりませんし、トイレにいったり服を着替えたりという場合には指で衣類をつかみます。

もっとも、初期段階で安静を心がけるのであれば治るかもしれませんが、その時点でばね指を発症していることに気づく方は少ないです。なんとなく違和感を感じながらもいつもどおりの毎日を送っている中で、どんどん悪化していってしまうのです。

おわりに:ばね指の自然治癒は難しい。症状に気づいたら早めに病院へ

  • 指は日常的によく使う部分のため、ばね指を発症した場合、自然治癒させるのは非常に難しい
  • 放置すると関節拘縮につながる恐れもある

指を動かしにくくなったような気がするなど、気になる症状がみられたら早めに病院で治療を受けましょう。

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