鼠径ヘルニアはどうして再発しやすいの?

2017/12/28

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

特に中高年の男性は発症しやすい傾向にある「鼠径ヘルニア」。脱腸とも呼ばれますが、この鼠径ヘルニアは再発しやすい疾患としても知られています。では、なぜ再発しやすいのでしょうか?理由を解説していきます。

鼠径ヘルニアについて

鼠径ヘルニアとは、足の付け根から鼠径部(太ももの付け根あたり)にかけての筋膜が破れ、脱腸を起こしてしまう疾病です。外科の疾病では盲腸の次に発症しやすい病気でもあり、子供だけではなく特に加齢によって筋膜が緩む40歳以上の大人にも多く見られます。

咳をした時や重たい荷物を持った時に鼠径部に膨らみを感じていたり、引っ張られる感覚や突っ張り感があれば要注意です。また横になった時に手で押してもとに戻ってしまうなら鼠径ヘルニアを疑った方が良いでしょう。特に女性よりも男性にかかりやすい病気であり、立ち仕事をしている人や肉体労働をしている人がなりやすいといわれています。そのほか喫煙者や便秘がちであったり肥満気味の人も要注意です。

鼠径ヘルニアは再発することがあるって本当?

鼠径ヘルニアは手術によって治療可能ですが、再発率が高い厄介な病気といえます。これまで鼠径ヘルニアの手術は筋膜を縫い合わせる方法で行われていましたが、その方法だと約10%の確率で再発します。最近は医療技術が進んだことによってクーゲル法というメッシュを使用する手術を行っている病院もあり、このクーゲル法で行った場合の再発率は1%以下という結果が出ています。

なお、再発した場合の症状は以前と同様に痛みが出てきたり、同じ場所が膨らんできます。鼠径ヘルニアは自然に治ることがないので手術をする必要がありますし、放っておくと飛び出したヘルニアが戻らず血流が止まることもあるので、再発に気づいたらすぐに医師に診てもらうことが大切です。

考えられる再発の理由とは?

鼠径ヘルニアが再発する原因は、手術の方法によります。メッシュを使用したクーゲル法で手術を行ったとしてもメッシュがずれてしまったり、補強が十分ではない場合は再発してしまいますし、手術をしたけれど継続して肉体労働や力仕事をしていたことで再発することもよくあります。仕事を変えるというのも大変なものですが、脱腸になりやすい体質であればその選択肢も視野に入れることを覚えておきましょう。

鼠径ヘルニアが再発した場合は自然に治ることはないですし、日常生活を送る上でも支障をきたすことになります。また再手術は初回の手術よりも難しくなってしまうので、信頼のおける病院や医師に相談することが大切です。

鼠径ヘルニアが再発した場合の対処法

鼠径ヘルニアの再発時の症状は、以前と同様に指で押せば戻るような膨らみがあったり、膨らみはなくても痛みだけ感じるという場合もあります。鼠径ヘルニアが進行すると吐き気を伴ったり強い痛みを感じるようになるので、違和感を感じたらすぐに外科の医師の診察を受けるように心掛けることが大切ですが、同じ部分を切開する場合は神経や血管を傷つける可能性も高く、高度な技術を要する手術になるので、必ず慎重に医院や医師を選ぶことが大切です。

また鼠径ヘルニアの再発を予防するためには、生活習慣を改めることが大切です。腹圧がかかることによって刺激を与えてしまいますし、太りすぎや便秘症も腹圧が高くなる原因なので普段から生活習慣を改めるようにしましょう。

おわりに:仕事内容や生活習慣によっては、再発リスクが高くなることも

力仕事をされている方は、鼠径ヘルニアの再発リスクが高い傾向にあります。再手術の際はより高度な治療が必要になるので、できれば再発しないよう、仕事内容を変えたり、生活習慣を改善したりといった予防に努めることが大切です。

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