ベーチェット病の主症状・副症状と治療法について

2017/12/25

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

国の指定難病に定められている「ベーチェット病」。今回の記事ではこのベーチェット病の主な症状について、詳しくご紹介していきます。

ベーチェット病はどんな病気?

ベーチェット病とは急性の炎症発作を繰り返す病気です。ベーチェット病はシルクロード病とも呼ばれており、シルクロードのある地域で発症が多いとされています。日本では18000人ほどの患者がいて、地域的には北の方に発症数が多いようです。発症年齢は10代後半から30代前半が多く、発症に男女差はありませんが、男性の発症者は重症例が多いという傾向があります。

ベーチェット病を発症する原因には、遺伝的なものが関与していると考えられていますが、それだけでなく環境的な要因やストレス、口腔内の細菌も関係しているという研究結果もあります。

ベーチェット病の主症状

ベーチェット病は、口腔内の潰瘍と陰部の潰瘍、皮膚の結節性紅斑、眼のぶどう膜炎の4つの症状が特徴です。

まず、口腔内にできる潰瘍は口唇、頬粘膜、舌、歯肉、口蓋粘膜にでき、円形で境界鮮明であることが特徴です。これはベーチェット病のほとんどの患者に見られ、痛みが強く繰り返し起こります。

外陰部の潰瘍は、男性では陰嚢、陰茎、亀頭に、女性では大小陰唇、膣粘膜にでき痛みを伴います。

皮膚の結節性紅斑は赤くなってしこりがある皮疹ができます。他にニキビに似た皮疹ができたり、静脈に沿って赤く炎症が起こる血栓性静脈炎を起こすことがあります。

眼の症状はほとんどの場合両目にみられ、虹彩毛様体炎を起こして、さらに悪化すると視力低下や視野異常を起こし失明することもあります。

ベーチェット病の副症状

上記の主症状以外にも、副症状として左右非対称に起こる関節炎がみられることがあります。他には男性患者の1~2割に副睾丸炎があることと、消化器症状として小腸と大腸の境目に潰瘍ができることがあります。血管に起こる症状としては深部静脈血栓症が多いのですが、たまに動脈の病変があり、喀血を起こして大量出血になり重篤な状態になることがあります。

そのほか、神経系の症状として頭痛や髄膜脳炎、脳梗塞のような症状や記憶力・理解力の低下、ろれつが回らないといった症状が徐々に進行していくことがあります。発症時は先述の主症状がメインですが、発症してから数年後にこれらの症状があらわれることが多いです。

ベーチェット病はどうやって治療するの?

ベーチェット病の治療としては、まず皮膚や粘膜の炎症を抑える目的で副腎皮質ステロイド剤の外用薬を使用します。副腎皮質ステロイドだけでは炎症が治まらない時には、免疫抑制剤を使用して重篤な合併症が起こらないようにします。

また、特に眼の症状は悪化すると失明の危険があるために十分に注意して治療を行わなくてはいけません。難治性網膜ぶどう膜炎を起こしている時には、治療効果が高いとされるTNFα阻害薬を使います。

なお、ベーチェット病は発作を繰り返し慢性に経過する病気ですが、10年ほどたつと症状がおさまってくることがあるようです。しかし眼の症状を持つ患者は失明することがあり、現在も有効な治療法の研究が進んでいます。

おわりに:口内炎や皮疹など疑わしい症状があれば病院へ

口内炎や外陰部の潰瘍、しこりがある皮疹、目の症状などが見られたら、ベーチェット病を発症している可能性があります。進行すると重篤な事態につながる恐れがあるので、疑わしい症状があればすぐに病院を受診しましょう。

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