記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/25 記事改定日: 2018/7/30
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
性行為を通じて感染する性病(性感染症)として知られる「尖圭(せんけい)コンジローマ」ですが、尖圭コンジローマを発症するとどんな症状が出るのでしょうか?症状に男女差や部位ごとの違いはあるのでしょうか?また無症状の場合は検査を受けられるのでしょうか。
以下で詳しく解説していくので、性病の基礎知識として役立ててください。
尖圭(せんけい)コンジローマは性行為や皮膚の接触により感染する病気で、性器付近にイボができることが特徴です。患者数の多い感染症で、近年患者数が増加傾向にあります。なお、患者の年齢は10代後半から30代と若い人に多く、男性は25歳〜30歳、女性は20歳〜25歳での発症が多いです。
症状が出るまでの潜伏期間は3週間〜8ヶ月と長いので、症状が出てから病気に気付いてもどこで感染したかがわからないというパターンも多いです。また、イボができるという症状があるとはいえ、痛みや痒みがないことが多いので発見が遅れがちでもあります。
尖圭コンジローマを発症すると、性器や肛門の周りにイボができます。イボは乳頭状のものから、ニワトリのトサカのようなカリフラワー状のものまでさまざまです。男性では陰茎、亀頭、包皮の内側、陰嚢などに、女性では大小陰唇、腟前庭、腟、子宮頸部などにそれぞれイボができます。男女ともに肛門内や肛門周囲、尿道口にまで症状がでることもあります。
尖圭コンジローマは性行為で感染するため、性行為の際に皮膚が触れる部位には症状が出やすくなります。これらのイボは最初は少数ですが、徐々に数が増え、巨大化するなど症状が悪化していきます。
ヒトパピローマウイルスはオーラルセックスによって口腔内や喉に感染することがあります。
症状は性器にできる尖圭コンジローマと変わらず、口腔内や喉にイボが形成されます。口腔内にできたイボは一見すると口内炎のように見えますが、痛みやびらんなどを伴わないのが特徴です。喉にできたイボは痛みがなく、初期の段階では自覚症状はほとんどないため、発症に気づくことはほとんどありませんが、徐々にイボが大きくなると喉の違和感や嚥下時のつっかかりなどを自覚することがあります。
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルスという種類のウイルスに感染することで発症しますが、ヒトパピローマウイルスには100種類以上の種類があります。この中で良性のウイルスとされているものに感染すると尖圭コンジローマを発症し、悪性のウイルスとされているものに感染すると子宮頸がんや陰茎がんを発症する恐れがあります。
また、オーラルセックスでウイルスに感染した場合には喉にウイルスがつくため、ウイルスが付着した喉に癌ができることもあります。ウイルスは性行為以外でも、皮膚や粘膜に傷がある場合には、傷からウイルスが入り込んで感染することもあります。しかし、発症している人の多くは性行為での感染が原因です。
尖圭コンジローマは特徴的なイボの形、生活歴、感染のリスクなどから診断が下されることが多く、特別な検査を必要としないことが多々あります。
しかし、尖圭コンジローマを医学的に確定させることを希望する場合には、イボの組織を採取して行う病理検査や尖圭コンジローマの原因となるウイルスの存在を調べるための遺伝子検査がおこなわれます。
ヒトパピローマウイルスに感染した可能性が極めて高い場合、女性であれば無症状の人でも検査を受けることができます。この場合は、イボの組織ではなく、外陰部や腟の組織を採取して遺伝子検査が行われます。
しかし、これらの検査は症状がない場合には自費での検査になります。遺伝子検査は高額な検査であるため、自費では検査料のみで10000~20000円ほどかかるのが相場です。
また、男性の場合、ウイルスは尿道に潜んでいるため、検査をしてもウイルスを検出することができないため検査はできないと考えてよいでしょう。
尖圭コンジローマの治療法としては、ベセルナクリーム®という軟膏を塗布する方法があります。これは医師から処方される薬で市販薬ではありません。使い方をしっかり守って使用することが重要です。使い方には細かな決まりがあるので、必ず指示通りに使用しましょう。
他には外科的な治療として電気メスや炭酸ガスレーザーで切除する方法があります。または液体窒素による凍結療法という方法もあります。これらの方法では外科的にイボを取り除くことができますが、ウイルスが残ってしまうこともあり、再発する可能性がでてしまいます。
治療後3ヶ月は再発がないかチェックしますが、およそ25%の患者に再発が起こると言われています。再発した場合には再度治療が必要になるので、治療後も様子を見ることが大切です。
尖圭コンジローマを発症すると、男女いずれも性器や肛門付近にイボが発生するという特徴があります。放置すると徐々に広がったり、ほかの人に感染させたりする恐れがあるので、もし該当箇所にイボを発見したら、早めに病院を受診してください。
また、無症状のこともありますので、普段から感染しないように対策をしておきましょう。