記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/27 記事改定日: 2019/12/20
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脂肪腫はその名のとおり脂肪のかたまりなのですが、具体的にどんな見た目をしているのでしょうか。また、体のどこにできやすいのでしょうか。
この記事では、脂肪腫によるしこりの特徴と悪性の腫瘍との違いについて解説しています。
脂肪腫とは、皮膚の下に生じる軟部組織の腫瘍で最も多く見られる良性の軟部腫瘍であり、いわゆる「脂肪のかたまり」です。
脂肪腫は皮下組織に見られる浅在性と、筋肉にみられる深在性といわれるタイプに分類されており、通常であれば柔らかく単発性の腫瘍ですが、場合によっては多発することがあります。
また、脂肪腫は化膿することがほとんどなく、臭いを発することもありません。
なお、脂肪腫は脂肪が蓄積した細胞の増加によるものではありますが、その原因については遺伝的要因やストレスの関与などが考えられているものの未だに明確にはなっていません。
脂肪腫は体のどの部位にもできますが、首、肩、背中といった「体の中心に近い部位」にできることがとくに多いです。次いで腕、臀部、大腿などが多く、顔面や頭皮、下腿にできることはあまりないです。
脂肪腫は20歳以下で生じることは極めて少なく、40歳~50歳代で生じることが多いです。発症率については、比較的女性に多く見られ、また肥満傾向にある人に多く見られます。
脂肪腫では、皮膚に円形状の盛り上がりが見られ、柔らかいしこりのようなかたまりとして触れることができます。またその大きさは数mmと小さいものから10cm以上と大きいものまでさまざまです。
なお、脂肪腫の多くは皮下組織に生じるため表面から触れることができますが、筋肉に生じた場合には触れることが難しい場合があります。
また先述のとおり、脂肪腫は化膿することはほとんどなく、臭いも発することはほとんどなく、皮下組織や筋肉に痛みが出ることは基本的にはありません。
ただし、筋肉内に生じるものに関しては、神経を圧迫した場合には痛みが出ることがあります。
脂肪腫は良性の腫瘍です。いわゆる「がん」とよばれる悪性の腫瘍と異なり、どんどん大きくなって周囲の臓器に浸潤したり、他の部位に転移したりすることはなく命に関わる状況を招くことを基本的にないでしょう。
脂肪腫の多くは治療の必要はありませんが、できる部位や大きさによっては関節運動などが妨げられたり、美容に影響を与えることはあります。また、触った感触などから脂肪腫と自己判断したものが実は悪性の軟部腫瘍である可能性もあります。
脂肪腫が疑われるしこりに気づいたら、軽く考えずにできるだけ早く病院を受診して検査を受けるようにしましょう。また、脂肪腫は経過観察が必要となるケースが多いため、医師の指示通りに定期的な診察を受けることも大切です。
肩や背中といった体の中心部にできやすい脂肪腫は良性の腫瘍ですので大きなが、悪性のものもあるので、しこりのようなものを発見したら、念のため専門の医療機関にて検査を受けることをおすすめします。