糖尿病と足の壊疽 ~ 壊疽に至る原因を解説 ~

2017/12/26

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

糖尿病の代表的な合併症に「足の壊疽(えそ)」があります。なぜ糖尿病の人は壊疽が起こりやすいのでしょうか。原因ごとに詳しく解説していきます。
足の壊疽は、進行すると切断しなくてはいけなくなる可能性もあります。そのような事態を避けるためにも参考にしてください。

壊疽とは?糖尿病との関連性は?

壊疽というのは細胞に栄養を送っている血流が何らかの原因で途絶えてしまったときに、栄養が届かなくなることでその部位の組織が死んでしまい、死んでしまった組織は暗褐色や黒色になってしまうことです。また、血流の阻害による壊疽以外にも、細菌感染が原因で壊疽になることもあります。

壊疽は誰もが起こる可能性がありますが、糖尿病の人は特に壊疽を起こす可能性が高いといわれています。これは血液中の糖分が多い高血糖状態が続いていることで

・神経障害を合併していることが多い
・動脈硬化が進行して血流が悪くなっていることが多い
・免疫力が低下しているケースが多いこと

などが理由といえるでしょう。この3つの理由のうちひとつでも当てはまると壊疽を起こしやすくなり、3つ条件が全て揃っているとリスクがかなり高くなります。

糖尿病で壊疽が起こる原因:①神経障害

糖尿病で高血糖状態が続くと、血液の流れが悪くなり「全身の細胞に栄養を送る」という血液の働きが十分に行えなくなります。特に細い血管(毛細血管)は少し血流が悪くなるだけで先端部への流れが途絶えてしまいやすくなります。
そのため毛細血管は高血糖による血流障害の影響を受けやすく、毛細血管から栄養を得ている神経細胞も大きな影響を受けるのです。

高血糖が続き血流障害が進んでいくと、徐々に神経細胞のダメージも蓄積していきます。ダメージを受けた神経細胞は正常に働かなくなり神経障害を起こし、その結果感覚が鈍くなり痛みを感じにくくなります。
通常では痛みを感じるような傷ができていても自覚できなくなってしまい、発見が遅れることで感染が拡大し、壊疽になる可能性が高くなります。

糖尿病で壊疽が起こる原因:②血流障害

糖尿病で血糖値が高い状態が続くと動脈硬化も進行し、血管の壁が厚くなり血管の中がどんどん狭くなっていきます。また、糖尿病の人は血液中の脂質も多い傾向があり、これも動脈硬化をさらに促進するのは原因となります。
このように動脈硬化で血液の通り道が狭くなっていくと、血液が十分に巡らなくなりしびれや冷感、歩くときの足の痛みを感じるようになります。そこからさらに悪化すると、何もしていないときにも足の先に痛みが出るようになり、完全に血流が途絶えてしまうと足先の細胞が死んでしまい壊死を起こしてしまうのです。

糖尿病で壊疽が起こる原因:③免疫力の低下

白血球の一部である好中級は、体内に入ってきたウイルスや細菌を見つけると、それらをとり囲んで食い殺すという働きを持っています。糖尿病の人は白血球の中の好中球の働きが悪くなるといわれています。
そして、糖尿病の人は、侵入してきた異物から体を守るための働く機能「免疫反応(免疫機能)」も弱くなってしまうと考えられているのです。

これらのことが原因となって免疫力が低下し、血流が悪い足先などで感染が起きたときに傷が治りにくく化膿しやすくなります。化膿したところから感染が広がり壊疽を引き起こしてしまうのです。

おわりに:壊疽が起こらないように、血糖コントロールをして糖尿病の悪化を防ごう

糖尿病は、一度発症してしまうと現状では元の健康な状態に戻すことはできません。そのため、一番の予防は糖尿病にならないように生活習慣を見直し、健康的な生活を送ることになります。しかし、もし糖尿病になってしまった場合は、これ以上病気を進行させないことが重要です。医師の指導のもと血糖コントロールを行い、糖尿病をこれ以上悪化させないようにしましょう。

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