家族性高コレステロール血症(FH)の検査と治療方法

2017/12/26

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

家族性高コレステロール血症(FH)は、遺伝的な原因でLDLコレスタロール(悪玉コレステロール)が細胞に取り込まれずに血中LDLコレステロール値が上がってしまう病気です。この記事では家族性高コレステロール血症の治療方法について紹介しています。

LDLコレステロールが増えている人は注意

家族性高コレステロール血症(FH)は、LDLコレステロールが異常に増えてしまう病気で、遺伝が原因となっているものです。LDLコレステロールとは悪玉コレステロールのことであり、肝臓の細胞表面のLDL受容体と結びつくことで細胞の中に取り込まれ壊されます。
しかしFHの人の場合は、このLDL受容体の遺伝や、LDL受容体を動かす遺伝子に異常があり、血液中のLDLコレステロールが細胞に取り込まれずに血液の中に溜まってしまいます。遺伝子は両親から一つずつ受け継いでいますが、両方に異常がある場合をホモ接合体といい、いずれか一方のみに異常があることをヘテロ接合体といいます。

原因と症状は?

上記でも触れたように、LDLコレステロールを代謝するLDL受容体やそれに関わる遺伝子に異常があることがわかっています。ホモ接合体の場合は、LDLコレステロールがほとんど代謝されず、ヘテロ接合体は通常の半分程度しか代謝されないという特徴があります。

10歳までに肘や膝などの皮膚に黄色腫とよばれる黄色いいぼ状の塊が見られるのが特徴です。成長とともに結節状にもりあがります。この特徴は、肘や膝以外にも、手首、おしり、アキレス腱などさまざまな場所に多く認められます。
さらにLDLコレステロールが肝臓で代謝されないまま血液中に長時間残ってしまうと、動脈硬化を引き起こす原因になるといわれています。動脈硬化が進むと、胸が痛い、苦しいという症状が現れることもあります。

検査と診断基準について

FHは30歳までには約半数に症状が現れるといわれています。

10歳後半から腱黄色腫などが現れ、50歳未満で角膜輪が見られる場合はFHの可能性が高いため検査が行われます。

成人では、肘関節、膝関節の伸側、手首など機械的刺激が加わりやすい部位に、コレステロールが皮膚や腱に沈着し、皮膚黄色腫、腱黄色腫が出てくるなどの症状が現れます。そして、これによって圧迫されたような痛みや歩行時に痛みを感じることもあります。

治療開始前の検査でLDLコレステロール値が180mg/dL以上であり、上記の症状にあわせてFHの家族歴があるかどうか、動脈硬化があるかどうかなどを含めて総合的に判断してFHの診断がくだされます。。

家族性高コレステロール血症を治療するには

FH患者の場合、LDLコレステロール値は100mg/dL未満に設定するのが目標です。これは冠動脈疾患の発症リスクを抑えるために必要です。ただし、これはあくまでも目安であり、まずは治療を始める前のLDLコレステロール値の50%未満を目標にLDLコレステロール値のコントロールが始められます。

薬としては、HMG-CoA還元酵素阻害薬や小腸コレステロールトランスポーター阻害薬、陰イオン交換樹脂などが使われます。基本的にはHMG-CoA還元酵素阻害薬が第一選択となりますが、治療結果や副作用などを考慮しながら、薬の種類や量が検討されます。

また、治療は薬だけでなく生活習慣の改善の必要になってきます。

・禁煙する・・・心臓や血管の病気のリスクを下げるため
・適度な運動・・・早歩きやゆっくりめのジョギング、水泳など。1日30分以上を目標にできるだけ毎日行う。ただし、動脈硬化を発症している可能性もあるので、必ず医師の許可が必要
・低脂肪、低コレステロールの食事で肥満予防する

上記のことを意識しながら、健康的な生活を送るようにしましょう。

おわりに:家族性高コレステロール血症の治療は、医師の指導のもとその人の状態にあった方法で行う必要がある

家族性高コレステロール血症の治療は、治療開始前のLDLコレステロール値の50%未満を目標にコレステロール値をコントロールすることになります。状態にもよりますが、生活習慣の改善だけでは目標達成できないことが多いため、薬が併用されます。どの薬をどのくらいの量、どれくらいの期間使うのかは、状態によって個人差があります。医師と相談しながら、自分にあった治療計画を立ててもらうようにしてください。

 

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