記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/5 記事改定日: 2020/8/3
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
インクレチンとは、グルカゴンを抑制する作用があるホルモンです。糖尿病の人は高血糖になってもグルカゴンが分泌されてしまうことがあるため、これを抑えるインクレチン関連薬が必要になる場合があります。以下の記事で詳しく紹介していくので参考にしてください。
インクレチンとは、消化管ホルモンの一種で食事に応じて分泌されるホルモンです。炭水化物や脂肪が消化管内に入ってきたときに腸管から血中へ分泌され、血糖値が上昇したときに作用します。
インクレチンには、インスリンの分泌を促進して血糖を降下させる働きや不適切なグルカゴンの放出を抑える働きがあり、治療薬として使われることもある成分です。
インクレチンは私たちの体内で分泌されるホルモンの一種ですが、インクレチンが減少する病気ではインクレチンを補給する治療が行われるケースがあります。
インクレチンの分泌は2型糖尿病によって減少するケースが多く、この場合インクレチンが治療に用いられることがあります。
ただし、他の血糖降下薬を服用している場合は低血糖を引き起こすことがあるため使用には注意が必要になります。
インクレチンは2型糖尿病の治療薬として使われることがありますが、これは2型糖尿の人が高血糖状態でもグルカゴンが放出され続けてしまう場合があることが理由のひとつになります。
現在では、インクレチンの分解を遅らせる薬とインクレチンの受容体を刺激する薬の2種類の働きを持つ薬が開発され、それぞれインクレチン関連薬として使われています。
DPP-4阻害薬とは、インクレチンの分解を阻害することで作用時間を伸ばし、血糖値の改善を目指す薬です。
DPP-4阻害薬はGLP-1(グルカゴンの分泌を抑制するインクレチン)を分解するDPP-4の働きを妨げることで分解を防いでGLP-1の血中濃度を高めます。これでインスリンの分泌が増強されるので血糖値が下がります。
単独投与では低血糖になりにくいとされていて、1日1~2回の投与で食前食後のしばりもなく、体重増加のリスクが低いなどがメリットとして挙げられます。ただし、高齢の方や腎機能が低下している場合には投与が受けられないこともあります。
GLP-1受容体作動薬はインクレチンの受容体を刺激する薬です。GLP-1受容体を介して作用し、インクレチン作用を促進します。
DPP-4による分解を受けにくくなるため、長時間にわたってGLP-1の働きが保たれるようになります。
1日1~2回の投与で空腹時の血糖値と食後の血糖値の両方を低下させることが可能です。肥満かそうでないかに関わらず体重増加の可能性は低いとされていますが、胃腸障害などの副作用がみられることもあります。
DPP-4阻害薬は単独では低血糖になりにくい薬ですが、スルホニルウレア剤と併用する場合は低血糖になりやすいと考えられています。GLP-1受容体作動薬では、上記で触れたように胃腸障害の副作用が起こる可能性があり、ひどいときには急性膵炎に発展することもあるといわれています。
深刻な副作用を回避するためには、医師と相談しながら薬の量や種類を変更していくなどの対策が必要になります。
インクレチン関連薬には、DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の2種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあり、副作用も違ってきます。どちらの薬を使うべきかは医師の管理のもと決定されますので、薬の服用は必ず医師の指示に従い、何か不具合や不安な症状が現れた場合はすぐに報告するようにしましょう。