記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/22 記事改定日: 2020/1/7
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
大人のおねしょは「夜尿症」と呼ばれ、いわゆる子供のおねしょとは区別されています。お酒の飲みすぎや過度の疲れなどのような一時的なものであればいいのですが、身体的な原因や自律神経からくる夜尿症もあるので注意が必要です。
この記事では、大人の夜尿症の原因や対処法について解説しています。
おねしょは子供がするものというイメージがありますが、大人になってからのおねしょ(夜尿症)が近年増えているといわれています。
おねしょとは、睡眠中に膀胱に溜まる尿量が膀胱の容量を超えてしまい、無意識に尿漏れをしてしまうことです。
子供のおねしょは通常3~5歳頃までにほとんどなくなりますので、小学生以上のおねしょのことは夜尿症と呼び区別し、次の2種類に大きく分類されます。
生まれたときからおねしょが続いている状態です。大人の夜尿症の8割以上が、この一次性夜尿症に当てはまります。
原因としては膀胱が小さくて十分な尿量を溜められないという身体的なものや、夜に尿量を抑制する「抗利尿ホルモン」の分泌が少ないために夜間も昼間と同じくらいの尿が作られてしまうなど、排尿に関わる機能に問題があることが大半です。生活指導やホルモン剤の投与で改善が目指せると考えられています。
大人になって突然おねしょが始まってしまうことを二次性夜尿症といいます。大量に飲酒してしまったときや、尿意を感じても疲れていて起きられないといったときに起きることが多いといわれていますが、継続的な二次性夜尿症の場合には、自律神経の乱れが原因となっていることもあるため注意が必要です。
大人の夜尿症は、体や心のストレスから自律神経失調症を発症することが原因になっていることが多いといわれています。
ストレスや疲労の蓄積や夜勤仕事などで生活リズムが狂ってしまい自律神経が乱れると、夜間に尿を少なくする抗利尿ホルモンの分泌が減少することがあります。
すると夜間にも昼間と同じくらいの尿を作ってしまい、膀胱が溜めておけずに漏らしてしまうのです。夜尿症までに至らなくとも、夜間頻尿になって生活に支障が出てしまうこともあります。
大人の夜尿症の治療方法は原因によって大きく異なります。
一次性夜尿症の場合は、抗利尿ホルモンを人工的に補う薬物療法を行うこともありますが、睡眠前は水分と取らない、就寝前にトイレに行くようにするなど生活習慣を改善することで症状がよくなることも少なくありません。
大人の二次性夜尿症は睡眠障害やストレスなどが原因となっていることが多いため、できるだけストレスなどを溜めず規則正しい生活を送ることが大切です。状態がひどいときには、気分を落ち着かせる薬や睡眠を導く薬が使用されることもあります。
また、大人の二次性夜尿症は前立腺肥大症や子宮脱など加齢によって生じやすい病気が原因のこともあります。このような場合は、原因となっている病気の根本的な治療を行わないと症状は改善しません。
できるだけ早く治療を行う必要がありますので、夜間の尿失禁を繰り返すときは早急に病院を受診しましょう。
近年増えている夜尿症は、飲酒などが原因となるような突発的なものであれば大事ではありませんが、継続する場合は自律神経失調症が原因で起こっている可能性があります。治療を行えば症状は克服できることも多く、間違ったセルフケアで症状が悪化してしまうケースもあるようです。恥ずかしがらずに専門医を受診しましょう。