記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/9 記事改定日: 2020/7/10
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
糖尿病が疑われる際、血糖値の変化などを調べるOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)という検査が行われます。この記事では、OGTTの目的や検査方法、前日の注意点、糖尿病の診断基準となる数値について解説します。
OGTT(経口糖負荷試験)とは、糖尿病や糖尿病予備軍を発見するための検査の一種です。糖尿病にかかっているおそれがある人にブドウ糖を含む飲み物を飲ませ、一定の時間ごとに採血し、血糖とインスリンの変化を調べることで糖尿病にかかっているかどうかを診断するものです。
OGTT検査はブドウ糖を含む飲料を服用した前後に複数回にわたって採血をしなければならず、身体への負担が大きな検査となります。
そのため、健康診断などで広く行われる検査ではなく、健康診断やたまたま受けた血液検査で血糖値やHbA1c値が高いことが分かった人、糖尿病を発症しやすい病気にかかっている人などに精密検査として行われるのが一般的です。
また、次のような症状が見られる方もOGTT検査をすすめられることがあります。
このような症状が思い当たる方は軽く考えずにできるだけ早く病院で相談するようにしましょう。
OGTTの目的は、発症した糖尿病を発見することだけではありません。「境界型」と呼ばれる、糖尿病に移行するリスクが高い状態を発見し、糖尿病への進行をくい止めることも目的としています。
糖尿病と確定される前の段階では、糖尿病とは言い切れないような空腹時血糖の上昇や、空腹時には問題なくとも食後の血糖値の上昇が見られることがあり、OGTTではこの状態を発見できるとされています。
以下は、OGTTの検査の流れです。
検査の10~16時間前から飲食をしないようにします。少量の水であれば飲んでも問題ありません。たいていの場合、検査の前日の午後9~10時以降は何も口にしないようにと指導されます。なお、検査日前の3日間は通常の食事を摂るようにします。
採血し、空腹時の血糖とインスリンを測ります。病院によっては、このときに検尿も行われます。
ブドウ糖を75g含む水を飲みます。
医療機関によって多少差はありますが、30分後、60分後、90分後、120分後に採血するのが一般的です。採血したのち、血糖とインスリンを測ります。
検査がすべて終了するまで飲食はできません。
糖尿病の診断の際には、OGTT2時間値(ブドウ糖75gの摂取2時間後の値)だけでなく、空腹時血糖と随時血糖も基準になり、「正常型」「糖尿病型」「境界型」の3つに分類されます。なお、正常型と糖尿病型のどちらにもあてはまらないものが境界型です。
以下の両方を満たすものを正常型としています。
以下のどちらかを満たすものを糖尿病型としています。
随時血糖値が200mg/dL以上の場合も糖尿型とされます。また、正常型と判断される数値であっても、OGTT検査の1時間値(ブドウ糖75gの摂取1時間後の値)が180mg/dL以上であればより糖尿病に進みやすいとされているため、境界型のように経過観察などが必要です。
1回目のOGTTで糖尿病型と判断されれば、できるだけ1ヶ月以内に再検査を行い、2度目の検査でも糖尿病型の結果が出た場合は糖尿病と診断されます。また、1度目の検査で糖尿病型の結果が出たことに加え、過去1~2ヶ月の血糖値を反映する「HbA1c」が6.5%以上であった場合は、再検査をせずとも糖尿病とされます。
OGTTでは、糖尿病はもちろんのこと、糖尿病の前段階の状態も見つけられることが特徴です。糖尿病に移行する可能性が高いことがわかれば、悪化して糖尿病になる前に食事療法や運動療法、薬物療法などの対策も講じられます。糖尿病のリスクが考えられる場合は早めの検査を心がけてください。