過剰歯を放置しているとどんな影響があるの?

2018/2/1

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

過剰歯(かじょうし)とは、通常32本生えてくる永久歯よりも多くの歯が生えてくることです。本来生えてくるべき永久歯が生えてこなかったり、他の部位の歯や歯茎のトラブルにつかながることもあるため早期の治療が必要になります。この記事では、過剰歯を放置するとどんな影響があるかについて紹介しています。

過剰歯とは?

人間の歯茎には通常32本の永久歯が生えてきます。この数を超えて多く生えてくる余分な歯のことを過剰歯(かじょうし)といいます。多くの場合、過剰歯は噛み合わせに関係ない位置に生えてくるため、歯としての機能を果たしません。

歯茎の中で歯を形成する組織である「歯胚」が、何らかのきっかけで過剰に働いたり、複数に分裂したりすることによって、過剰歯ができると考えられていて、過剰歯には下記のように種類分けされます。

正中(せいちゅう)過剰歯

上の真ん中の前歯(中切歯)の間に生えてくる過剰歯で、最も出現頻度が高いとされています。上の前歯が乳歯から永久歯に生えかわる時期(6~7歳ごろ)に、なかなか永久歯が生えてこないなどを心配に思い歯科医を受診したことで発覚することが多いといわれています。

臼傍歯(きゅうぼうし)、臼後歯(きゅうごし)

奥歯のさらに奥に生える過剰歯です。親知らずの後ろに生えてくる「第4大臼歯」などがあります。多くの場合、他の奥歯と比べて小さなサイズとなります。

埋伏過剰歯

歯茎の中に埋もれたまま、露出していない過剰歯です。

逆生過剰歯

本来生える向きとは、逆方向へ生えている過剰歯です。たとえば、上の歯茎から上向きに生える過剰歯などのことをいいます(なお、他の歯と同じ方向へ生えている過剰歯を「順生過剰歯」といいます)。

過剰歯の特徴

過剰歯は、女性よりも男性の歯茎に生える可能性が高く、「1本だけ」「上顎に」過剰歯が生える例が多いとされ、乳歯の過剰歯や四角い形状の過剰歯の例はあまりみられません。犬歯のように三角形に尖っていたり、角がなく丸みを帯びていたりする過剰歯の例が多いといわれています。

過剰歯を放っておくとどうなるの?

過剰歯を見つけても、抜かずにそのままにしておくと、本来生えてくる永久歯がなかなか生えてこれなくなってしまい、歯並びや噛み合わせが悪化し、しゃべりの滑舌にも影響をおよぼすおそれがあります。
特に正中過剰歯は「すきっ歯」を生じさせる原因になります。

また、歯茎の中の埋伏過剰歯が、周りにある他の永久歯の土台(歯根)を溶かしたり、細菌の温床となって炎症を起こしたりする危険性もあります。
そして過剰歯は、歯茎の中に「嚢胞(のうほう)」という病変を形成させるきっかけになることもあります。嚢胞は、歯茎を腫れさせ、他の歯の土台(歯根)を腐らせてしまう原因ともなりえます。つまり、過剰歯は他の歯の健康を脅かすリスクがあるともいえるでしょう。

過剰歯の治療は、抜歯による治療が大半であり、生え方によっては大がかりな手術が必要になる場合もあります。ただし年齢によっては手術に耐えられない危険性もありますので、治療のタイミングについては医師に相談しながら決めていきましょう。

おわりに:過剰歯を放置すると他の歯にも悪影響が!まずは歯科医に相談しよう!

「乳歯が全部抜けたのに、なかなか生えてこない永久歯がある」「上前歯のスキマが閉じず、すきっ歯になりそう」など、子供に過剰歯が疑われる症状がある場合は、早めに歯科医に診せるようにしましょう。また、定期的な歯科検診を怠らないことも、過剰歯などの歯科トラブルを未然に防ぐことにつながります。

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