記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
モートン病とは、中足骨(足の指の根元から足首に向かって位置する細長い骨)の間に痛みやしびれなどが現れる整形外科疾患です。痛みがふくらはぎまで拡がってしまったり、姿勢のバランスが崩れることで腰痛など他の痛みに発展していまうことがあります。今回はモートン病の治療方法について解説しています。
モートン病とは、足趾(足の指のこと)の付け根に荷重が集中することで、足の2本の指にまたがって痛みやしびれが生じる病気です。
中腰の作業が長時間続いたりハイヒールを常用していると、足の付け根の関節(中足趾節関節)に常に負担がかかることになるため、神経が中足骨や周囲の靭帯と地面に圧迫されることでダメージが蓄積し、神経障害や痛み、しびれが発生します。
罹患率は女性の方が高く、特に30~40歳位の女性に多く見られますが、最近では20代の女性患者も増加傾向にあるといわれています。症状が進み痛みやしびれ悪化してくると、バランスが悪くなり膝痛や腰痛、肩こりなどの原因になると考えられています。
足の中指と薬指の間もしくは人差し指と中指辺りに、しびれや鋭い痛みが起こるのが代表的な症状です。
このしびれや痛みは、片足でも両足でも生じます。また靴やインソール(中敷き)などで負担を減らす対策を取らないと、徐々にしびれや痛みの症状がひどくなるため注意が必要です。
さらに悪化が進むと、神経が腫れてこぶのようになる「モートン神経腫」が生じる可能性があります。
治療は保存療法から開始します。局所の安静(ハイヒールの禁止など)の指示と、足底板(医療用のインソール)の使用とあわせて運動療法が行われます。足底板の使用で正しいアーチを保ち神経への負担を減らすことで、症状の改善を目指します。そして運動療法で、症状がある足指の関節や筋肉を動かし血のめぐりをよくして回復を促します。ただし、運動療法は痛みがある程度治まってから始めないと悪化する可能性があるので注意しましょう。
痛みやしびれがひどいものや、安静にしても治まらない場合は、薬剤療法を行います。消炎鎮痛剤の内服やステロイド注射で炎症を抑え、症状の緩和を目指します。一般的に薬物療法は、足底板の使用や運動療法などの治療とあわせて行われます。
保存療法を続けても3ヵ月以上症状が回復しない場合や日常生活が過ごせないほど重症の場合は、手術が検討されることもあるでしょう。手術の方法には、神経を圧迫している腫瘍を剥がす神経剥離術、圧迫している神経を切除する神経腫切除術、深横中足靭帯の切離などがあり、状態にあわせた術式が選択されます。
モートン病の場合、下記のとおり、患部以外へのアプローチで改善する可能性があることが示唆されています。
・O脚や内股など、足首がずれていたり、膝や股関節がねじれている場合、足首、膝、股関節が正しく曲げ伸ばしができるように調整する
・身体のバランスが悪くなっていると患部に偏った負担がかかり続ける可能性があるため、全身がリラックスできるような施術(マッサージや全身運動、ストレッチなど)を取り入れる
・坐骨神経痛、冷えや疲労の蓄積により、ふくらはぎがむくんだり筋肉がこわばったりすると、脚全体の動きの連動がうまくいかなくなる可能性があるので、こわばった部分の筋肉や関節、神経に対して温熱療法や電気療法を施す
モートン病の症状緩和のために日常生活で気をつけるべき点は多々ありますが、症状が悪化しないうちに早めに受診することが大切です。また、足の痛みやしびれは他の病気の兆候の可能性もあります。専門医の診断の下で適切な治療を受けましょう。