記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
大腸憩室炎とは、大腸にできた憩室に炎症が起こってしまう病気です。深刻な状態になることは少ないといわれていますが、まれに重症化し、腹膜炎などの合併症に発展してしまう可能性があります。この記事では、大腸憩室炎の治療と合併症のリスクについて解説しています。
大腸憩室炎は大腸の壁の一部が外側に袋状にはみだしてしまい、そこに炎症が起こる病気です。
大腸の壁は粘膜、筋層、漿膜の層で構成されていて、筋層の隙間や筋肉が弱くなっている部位に腹圧がかかると腸内の圧力が腸の壁に伝わり、弱い粘膜部分が外に飛び出してしまい憩室ができてしまいます。
腸の壁は加齢が原因で弱くなることもあるため、年齢が高いほど大腸に憩室ができる頻度が高くなるといわれています。
憩室自体は決して珍しいものではなく、大腸の内視鏡検査をした人のうち10人に1人にみられるといわれているほどです。憩室があっても症状が出ることはほとんどないので、大腸に憩室があることを自覚していない人はかなり多いといわれています。
この大腸憩室に炎症が起こると大腸憩室炎となり、腹痛や出血を起こすことがあります。以前は欧米の人に多く日本人には少ない病気でしたが、食生活の欧米化などにより、近年日本でも患者数が増えてきていることがわかっています。
大腸憩室は、無症状で体に害を与えていなければ治療の必要はありません。しかし炎症を起こし「大腸憩室炎」に発展したものは、周囲に炎症が広がり腹膜炎を起こすおそれがあるので、病院で適切な治療を受ける必要があります。
大腸憩室炎の治療では炎症を抑えるために抗菌薬を使用します。大腸憩室炎を発症しても、大半は自然に止血されるため経過観察となることが多いといわれていますが、出血量が多かったり出血を繰り返す場合は治療適応となります。
大腸内視鏡による止血処置やバリウムを使用しての止血治療が治療の中心になりますが、大腸に穴があいてしまうと腹膜炎を起こす危険があるので手術が必要です。
大腸憩室炎は再発しやすい病気のため、治療後も食物繊維を多く摂るなどして、便秘にならないように注意する必要があります。
大腸憩室炎は重篤な病状になることが少ないといわれていますが、まれに腹膜炎を合併したり、憩室周辺に膿がたまってしまう場合があります。合併症が起こったときは、炎症が起きている腸管を切除したり、行って溜まっている膿を体の外に出す手術が行われます。病状が重篤な場合には人工肛門が必要になることもあります。
大腸憩室炎が悪化すると、ひどいときには腹膜炎を起こしています可能性があります。さらにひどいときには、人工肛門をつけなければいけなくなるケースもあるのです。大腸憩室炎は病状が軽いうちに発見できれば、服薬治療だけで済むこともあります。普段から食物繊維をたっぷりとるように心がけ、不安な症状があるときは重症化する前に病院を受診しましょう。