記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
下血とは、お尻(肛門)からの出血のことであり、便に混ざって出てくることもあります。痔や胃腸の病気などが原因で起こりますが、病院ではどんな検査をするのでしょうか。この記事では、下血が起こったときの検査方法と検査の重要性について紹介していきます。
排便をしたときにトイレットペーパーに血がついていたり、便に血が混じっていることを下血といいます。お尻から血がでたときは、切れ痔やいぼ痔を疑うこともかと思いますが、痔以外の病気で起こる可能性もあるので注意が必要です。
小腸の下の方や大腸・肛門といった部位からの出血は、赤っぽい血が混じる血便となります。ただし大腸の機能低下や癌があるときは黒っぽくなることもあります。
そして、小腸の上の方や上部消化管からの出血は黒色の便となって出てきます。この黒色便はタール便とも呼ばれ、タール便が出たときは最低でも60ml以上の出血があることが予想されます。
下血(げけつ)が起こるのは消化器官に出血が見られるほどの異常が発生しているという証拠です。がんなどの腫瘍性の病気や腸炎などの炎症性の病気、痔などの血管性の病気の可能性があるので、早めに病院で検査してもらいましょう。
下血(げけつ)の原因として最も多いとされているのは、痔によるものです。特に鮮血であったり便の表面に付着しているといった場合は痔の可能性が高くなります。痔は痛みがあるものとないものがあるので、痛みがないからといって軽症だと考えないようにしてください。出血があるときはすぐに病院を受診しましょう。
また、痔が原因の下血が多いとはいっても、鮮血便のすべてが痔よるものではありません。虚血性大腸炎などで鮮血便がでることもあるので注意が必要です。
このように下血の原因を自分で特定することは困難であり、これは黒色便の下血であっても同様です。一般の人が便の色だけで病気を自己判断し、間違った対処をしてしまうと、病気が悪化する危険があります。下血を根本から治すためにも、必ず原因を特定してもらいましょう。
下血(げけつ)に気づいて消化器内科を受診した場合、問診が終わったら、その内容に合わせて医師が検査項目を決定します。
切れ痔や外痔核などの肛門付近の出血に関しては視診による目視で確認を行い、直腸や前立腺などの腫瘍や内痔核の有無を確認する場合は、直接肛門から指を入れて直腸指診を行います。
この検査ではっきりとした原因がわからない場合には、X線(レントゲン)検査や大腸内視鏡検査を行うこともあります。
大腸内視鏡検査を行うためには下剤を数回に分けて飲み腸内を空にする必要があります。検査のときは検査台に横になり、肛門から内視鏡を入れて大腸の異常を探していきます。
その他にも必要に応じて、便潜血検査や血液検査、上部消化管内視鏡検査(口や鼻から内視鏡を挿入する検査)が行われることもあります。
下血の多くは痔が原因といわれていますが、消化器官の病気が原因になっていることもあります。下血の色である程度病気の予測ができるとはいえ、病院での検査でなければ発見できない病気もあるので、一般の人が病気を特定することは困難です。重篤な病気を放置して手遅れになってしまわないためにも、下血がでたときは必ず病院で検査してもらいましょう。