記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
心的外傷後ストレス障害はPTSD(Post Traumatic Stress Disorder)とも呼ばれる心の病気です。トラウマや強いショック、精神的なストレスが原因で発症するといわれていますが、どのような症状が起こるのでしょうか。この記事では、心的外傷後ストレス障害の基礎知識をご紹介していきます。
心的外傷後ストレス障害とは、過去の強いトラウマや精神的ストレスによって引き起こされる精神障害のことで、PTSDとも呼ばれている病気です。自然災害や事件・事故、虐待・犯罪被害など、強い恐怖を感じるような出来事を経験したことが原因で発症します。
心的外傷後ストレス障害の代表的な症状として、以下の4つが挙げられます。
突然、当時の辛い体験が生々しく、当時の感覚・感情と共によみがえってしまったり、特にトラウマについて意識していなくても思い出してしまうことで、当時の辛い体験をもう一度経験しているような感覚に陥ります。
また、悪夢として何度も記憶を追体験しているケースも少なくありません。
辛い記憶を何度も追体験したことによって精神的に不安定になり、いつも神経が張り詰めた状態になります。
このためイライラしたり、周囲を過度に警戒するあまり物音に敏感に反応する、不眠になるなどの症状に陥りがちです。
記憶がよみがえって何度も怖い思いをしているうちに、そのきっかけとなるような場所や状況を無意識に避けて行動するようになります。きっかけは本人にしかわからない日常の些細な場面にも潜んでいるため、日常生活に支障をきたすこともあります。
辛い記憶・体験から自分の心を守るために、感情や感覚を麻痺させてしまうケースもあります。すべての物事に対しての感覚や感情が麻痺するため、周囲の大切な人にこれまでのような愛情や親しみを持つことができず、コミュニケーションも難しくなりがちです。
以上の症状が、トラウマの原因となった体験をしてから1か月以上の長期にわたって続く、または悪化する様子が見られた場合は、心的外傷後ストレス障害の可能性が高いと考えられるので、専門の医療機関で医師の診察を受けることをおすすめします。
まったく同じ事故や事件の被害に遭い、同じような怖い体験をした人でも、全員が心的外傷後ストレス障害を発症するとは限りません。
これは、心的外傷後ストレス障害になる人の心が弱いのではなく、人が恐怖やトラウマと感じる出来事は、個人の価値観によって異なることが原因です。
引き金となる出来事が人それぞれだからこそ、誰にでも発症しうる病気といえるでしょう。
心的外傷後ストレス障害の治療は「心理的・精神的アプローチ」と「薬物療法」の2つを行います。
「心理的・精神的アプローチ」では、あえて怖い記憶をよびさまし、思い出しても危険ではないことを心身で理解していく持続エクスポージャー療法が用いられます。
一方、不眠やうつなどの症状には抗不安薬や睡眠導入剤などを使った「薬物療法」が行われ、身体的につらい状態が続かないように回復を促します。
心的外傷後ストレス障害は、心身に大きなショックを受けたときに誰でも発症する可能性のある心の病気であり、発症しても決して恥ずかしいことではありません、辛い思いをしているなら、早めに病院で医師の治療を受けるようにしましょう。