智歯周囲炎を放置するとかなり危険だった! その理由は・・・

2018/1/29

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

智歯周囲炎とは、親知らず付近の歯茎に炎症を起こしてしまうことです。しばらくすると症状が治まることも多いため、放置しがちな歯のトラブルではありますが、実は危険な合併症を引き起こしてしまう可能性があるのです。下記の記事で詳しく紹介していきます。

智歯周囲炎とは?

智歯(ちし)とは親知らずのことで、智歯周囲炎(ちししゅういえん)とは、親知らず周辺の歯茎などが炎症を起こしてしまう症状のことです。多くの場合は、親知らずが生えてくる20歳前後の患者に発症し、生えかけの親知らずと歯茎の間にある深い溝に細菌が入ることで発症します。

親知らずは口の一番奥にあるだけでなく、横や斜めを向いて生えてきたり、半分埋まった状態になることが多いことから、歯ブラシが届きにくく汚れが残り、炎症を起こしやすくなる傾向があります。

代表的な症状は歯茎の腫れや痛みで、20歳前後の若者に発症やすいのが特徴です。重症化すると歯茎から膿が出て、炎症の範囲がのどや顎の骨にまで広がり、食事や日常生活に大きな支障をもたらします。

智歯周囲炎を放置しているとどうなるの?

智歯周囲炎は、軽度であれば1週間ほどで自然に症状がおさまることもありますが、一旦症状が落ち着いても根本的な解決に至っているわけではありません。疲れや寝不足で体の抵抗力が落ちたり、口内が不衛生な状態が続いたりすると、再発を繰り返します。

再発を繰り返すうちに、細菌と炎症がのどや顎の骨・筋肉、扁桃腺にまで広がり、高熱やつばを飲み込んだり口を開けるだけでも強い痛みを感じるようになります。
さらに炎症が広がると、細菌が胸にまで達し血液に入り込んで敗血症になったり、非常にまれではありますが、感染症が原因で心臓が停止し死亡してしまうリスクもあるのです。

智歯周囲炎はできるだけ早めに歯科医院で治療することが大切

智歯周囲炎は、放っておくと再発を繰り返し悪化していきます。はじめは口の中に鈍い痛みを感じるだけでも、時間が経って重症化すると、夜も眠れないような痛みや、高熱に苦しむことになりかねません。

だからこそ、智歯周囲炎の発症に気づいたら、できるだけ早く歯科医院で治療を受けることが大切です。
歯科医院では、症状や重症度にあわせて、以下のような智歯周囲炎治療が行われます。

炎症を抑えるための投薬治療

智歯周囲炎による炎症と痛みが強い場合は、麻酔がきかないことがあります。そのようなときは、親知らずの周りを消毒して膿を取り除き、抗菌薬を投与して炎症を抑える治療が行われます。このとき、あわせて患者に抗菌薬や痛み止めが処方されることもあります。

親知らずの抜歯

炎症が落ち着いたら、あらかじめレントゲンで親知らずの生え方や位置を確認してから、智歯周囲炎の原因となっている親知らずを抜きます。
上の歯は比較的抜けやすいとされていますが、下の歯は顎の骨を通る太い神経に近いところに生えているため、抜歯に時間がかかることもあります。

また、親知らずが横向きに歯茎に埋まっている状態(水平埋状)の抜歯は、特に難易度が高く、親知らずに虫歯ができている場合は歯がもろくなっているため割れやすく、すべて取り除くのに時間がかかってしまうこともあります。

おわりに:死亡のリスクもある智歯周囲炎は、できるだけ早く歯科医院で治療を受けよう!

智歯周囲炎は誰でも起こりやすく、軽度なら放っておいても症状がおさまるので油断しがちなですが、重症化すると死亡のリスクもあります。歯茎に痛みを感じた時点で、歯科医院に行って治療をうけてくださいね。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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