記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/20 記事改定日: 2020/2/21
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
においが感じられなくなったり、色々なにおいを嗅ぎ分けられなくなったりすることを嗅覚障害といいます。こちらの記事では、原因によって異なる、嗅覚障害の治療方法などを解説します。
嗅覚障害とは、においがわかりづらくなる嗅覚低下、まったくにおいが感じられなくなる嗅覚消失、少しの悪臭にも耐えられない嗅覚過敏、よいにおいであっても悪臭と感じてしまう嗅覚錯誤といった症状が現れる病気です。
嗅覚障害は、その原因や病態によって3つに分けられます。
嗅覚障害の原因には上述のように様々なものが考えられます。治療方法は原因によって異なりますので、治療を進めていくにはどのような原因によるものか正しく判断することが大切です。
このため、嗅覚障害を発症した時は次のような検査が行われます。
検査の進め方としては、嗅覚障害は副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など鼻周りの病気や脳梗塞などの中枢性の病気によって引き起こされることが多いため、何らかの病気がないか調べる検査が行われます。
また、嗅覚の状態がどの程度であるか調べる「嗅覚検査」が行われることもあります。なお、基準嗅力検査とは、5種類の臭いを8段階の濃度でかぎ、どの段階まで臭いを識別できるか調べる検査です。
なお、静脈性嗅覚検査とは、ニンニク臭のあるアリナミン®という薬を注射し、ニンニク臭を感じなくなるまでの時間を図る検査です。基準嗅力検査は嗅覚の程度を評価するのに有用で、静脈性嗅覚検査は、嗅覚の予後を予測するのに有用とされています。
味覚障害の原因は、鼻に関する何らかの病気である場合と、においセンサーに障害が生じている場合の2つに大きく分けられ、治療においてはその原因に合わせた方法がとられます。
鼻の病気が原因の臭覚障害では、ステロイド点鼻薬による治療が行われます。
嗅覚障害でステロイド点鼻薬を使うときは、嗅粘膜まで薬剤を届かせるために枕を使わず横向きに寝た状態で使う方がいいです。
アレルギー性鼻炎に対しては抗ヒスタミン薬が処方されたり、慢性副鼻腔炎の改善のために内視鏡下鼻副鼻腔手術が行われたりといった病気自体の治療が行われます。
においを感知する部分に障害が起こっている場合は、難治性のことが多いです。治癒までには長い時間が必要になります。中枢性嗅覚障害による臭覚障害では、原因の病気を治療することで改善することもあります。
嗅覚障害の原因が、鼻に関する疾患ではなく、においを感知する部位に起こっている障害である場合には、漢方薬が併用されることがあります。漢方薬を用いた治療は、ステロイド点鼻薬を使ってもあまり効果が認められない場合などにも試みられます。嗅覚障害に用いられるのは、主に以下のような漢方薬です。
このほか、加味帰脾湯(かみきひとう)や柴苓湯(さいれいとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)加味八脈散(かみはちみゃくさん)などが用いられます。
嗅覚障害の原因には、鼻に関する疾患だけでなく、鼻腔のにおいを識別する組織の損傷なども考えられ、それぞれの原因を考慮した治療法が試みられます。特ににおいを識別する組織が傷ついた場合にはステロイド点鼻薬が効かないことがあり、その場合は漢方薬が用いられることもあるでしょう。症状の経過をみながら医師と相談し、自分にあった治療方法を選ぶようにしましょう。