肺の良性腫瘍と悪性腫瘍の違いとは?手術するのはどんなとき?

2018/1/11 記事改定日: 2018/11/27
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

肺にできる代表的な腫瘍として、悪性腫瘍である肺がんが挙げられるでしょう。しかし肺には良性腫瘍ができることもあります。肺に良性腫瘍ができたとき、どんな症状が起こりどのように治療していくのでしょうか。悪性腫瘍と良性腫瘍の違いも含めて詳しく解説していきます。

良性腫瘍ってどんなもの?

国民の死亡原因の約3割を占める「がん」は、「悪性腫瘍」とも呼ばれます。悪性腫瘍と良性腫瘍はその特徴に大きな違いがあります。

悪性腫瘍は、

  1. 自律的に増殖を続ける
  2. 転移(周囲に広がり体内で飛び火すること)や浸潤(周りの組織に染みでるように拡がっていくこと)して、新たながん細胞をつくる
  3. 他の組織の栄養を奪う(悪液質)

といった特徴があります。

一方、良性腫瘍は①自律的に増殖することはあっても、②転移、浸潤と③悪液質の作用はありません。
良性腫瘍でもサイズや発生場所によっては治療が必要になることもありますが、良性腫瘍の大半は切除すれば再発しないといわれています。

肺に良性腫瘍ができると、どんな症状が現れる?

肺にできる良性腫瘍は、発生の頻度は低いものの、種類が多岐に渡ります。気管支や肺自体、血管、胸膜などから発生して、肺腫瘍全体の2~5%を構成します。肥大する速度は遅く、他部へ転移する可能性も極めて低いといわれています。

無症状のことが大半ですが、腫瘍のできた部位によっては、せきや痰、発熱、腹痛、呼吸困難などの症状が出たり、気管支が狭くなって肺炎を起こすこともあります。

治療は必要?

肺にできた腫瘍に対してはまずは良性か悪性化を見極めることが大切です。良性腫瘍で手術の必要がないものについては経過観察をすることが多いです。しかし、今後増大する可能性が高い良性腫瘍や、診断がついていない時は診断をつける目的を兼ねて手術を行うことが多いです。

良性か悪性か・・・どうやって見分けるの?

腫瘍自体は、健康診断などの胸部X線(レントゲン)検査や胸部CTがきっかけで発見されることもありますが、このような画像検査では、良性腫瘍か悪性腫瘍かの区別は困難です。

腫瘍が見つかった後は、腫瘍の場所によっては気管支鏡という内視鏡を用いて腫瘍細胞を採取して判断します。気管支鏡での組織の採取ができない状況であったり、少ない組織量しか採取できない状況の場合は手術での確認が必要なこともあります。採取した組織と腫瘍の大きさや形状、内容物などをもとに、最終的な診断がくだされます。

肺の良性腫瘍の手術は、どのように行われるの?

肺の良性腫瘍は悪性のがんなどのように急激に大きくなったり、転移することはないので特に症状がない場合は定期的な検査で経過観察されることも少なくありません。しかし、腫瘍が大きく何らかの症状がある場合や、悪性との鑑別が付きにくい場合は、基本的には手術による切除が行われます。

手術の方法としては、気管支鏡が挿入可能な位置にあり、気管支鏡による切除が可能な大きさであれば気管支鏡による切除が行われます。気管支鏡による切除が行えない場合には、胸腔鏡を用いた手術や開胸による手術が行われます。

胸腔鏡を用いた手術の方が体への負担が少なく、術後の回復も早いため、優先的に行われますが、腫瘍が大きい場合などでは開胸による手術が選択されます。

内視鏡や胸腔鏡による手術は術後の回復が非常に速いため、1~2週間程度で普段の生活に戻ることができます。一方、開胸手術は術後の痛みや感染症などの合併症も起きやすいため、発熱などに注意しながらリハビリを開始していく必要があります。

おわりに:定期的な検査で早期発見に努め、治療のタイミングを逃さないようにしよう

良性腫瘍は、症状がなければ経過観察になることが大半ですが、症状がある場合や症状がなくても医師が必要と判断した場合は手術を行うことがあります。

しかし、肺の腫瘍は、良性か悪性の判断が見た目では難しいため、適切な治療を受けるためには定期的な検査が大切です。良性腫瘍があると診断された人はもちろんですが、現状で腫瘍がないという人も自身の健康状態を把握するために定期健診を欠かさないようにしましょう。

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