記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
変形性頸椎症とは、老化が原因で起こる整形外科疾患です。治療方法には薬やリハビリなどの保存療法と手術があります。症状がひどいときには手術が必要になるといわれていますが、手術をしなくてもいいケースはあるのでしょうか。
背骨は、首の部位の頸椎、背中の部位の胸椎、腰の部位の腰椎という3つで構成されています。その中の首「頚椎」が年齢とともに、変形してしまうことを変形性頸椎症といいます。
椎間板の老化などによって椎骨と椎骨との間が徐々に狭くなり頸椎が不安定になってしまうと、安定性と保とうとして頸椎にとげの様な骨変形が(骨棘)みられるようになります。30代以降では誰にでも起こる可能性がある老化現象であり、変形性頸椎症が進行すると、首の痛みや肩こりなどの症状が現れるようになります。
上記でも触れたように、変形性頸椎症の主な症状は肩こりや首や肩の痛みなどです。このような軽度な症状が慢性的に続いたあと、変形がさらに進むと「神経根症状」や「脊髄症状」へと徐々に進行します。神経根症状では、腕が上がらなくなる「脱力」や上肢の放散痛などが起こります。
脊髄症状では、歩きにくくなったり、両手両足の末端部分のしびれ、排尿障害等が起こります。中には、この神経根症状と脊髄症状を併発する方もいます。
治療には、主に「保存療法」と「手術療法」の2つがあり、治療は保存療法から始められ、下半身に症状が出るまで進行していたり、激しい痛みや排尿障害など日常生活に支障をきたす可能性がある場合は手術療法が選択されます。
保存療法には、「薬物療法」「理学療法」「装具療法」があります。患者の症状に合わせてそれぞれの治療法を組みあわせて治療が進められていきます。
・薬物療法
痛みに対しては、非ステロイド系消炎鎮痛剤や筋弛緩薬などで緩和を目指します。痛みやしびれが背中や腕にまで広がっている場合は、神経根ブロックや星状神経節ブロックなどの神経ブロック療法が行われることもあります。
・理学療法
温熱療法、電気治療、レーザー治療、マッサージ治療などがあります。患者の治療に充てられる時間や効果を考慮して、治療の選択や組み合わせを考えます。
・装具療法
頸椎カラーなどで首の動きを制限し、患部にかかる負担を軽減します。
これらの保存療法だけでも寛解することもありますが、変形が著しく進んだものに関しては手術が必要なる場合もあります。医師と相談しながら適切な時期に適切な治療を選択していく必要があります。
30歳代を目安に、加齢とともに誰にでも起こりうる可能性があるのが「変形性頚椎症」です。生活習慣によって引き起こされる症状がほとんどなので、自分では痛みの出る姿勢を避け、首や肩の筋肉をほぐすことも大切です。ただし慢性的に続く場合や痛みやしびれがひどいときは、手術が必要になる可能性があります。早めに医師に相談し、適切な治療を受けられるように備えておきましょう。