陰茎癌の治療で起こり得る副作用を知っておこう

2018/1/11

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

陰茎癌は男性特有の癌であり、デリケートな部位にできるため治療が遅れがちという特徴があります。しかし、他の部位に転移すると命に危険が及ぶ可能性があるのです。手遅れにならないようにするためにも、陰茎癌の症状や治療、治療の副作用を理解しておきましょう。

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陰茎癌とは?

陰茎癌とは、男性生殖器にできる悪性腫瘍のことです。皮膚癌の一種ですが、発症率は約30~50万人に1人の割合で、癌の中では発症が比較的珍しい部類とされ、60歳以上の高齢男性が多く発症する傾向があります。

陰茎癌にかかると、亀頭や包皮の部分に、カリフラワー状の表面がぶつぶつした腫瘤(できもの)ができたり、陰茎の皮膚や粘膜にただれ(びらん)ができます。そして腫瘍が大きくなってくると出血が見られるようになります。

発症に気づきにくい陰茎癌。その理由は?

痛みなどの自覚症状が出ることはありませんし、たとえ異変に気づいても部位が部位なだけに恥ずかしくて誰にも相談できず、受診をためらう傾向があります。そのため陰茎癌の発見は遅れがちです。また、包茎の人は包皮に患部が隠れてしまうケースがあることも発見が遅れる理由といえるでしょう。
しかし、陰茎癌が鼠径部のリンパ節に転移してしまうと生命の危機に発展しかねません。一般の人が癌を見分けることはできませんので、早期に受診することが大切です。

なお、かつては陰茎癌と包茎の因果関係が指摘されていましたが、現在では否定されています。現在はヒトパピローマウイルスに感染した人の中に陰茎癌の発症が多くみられるという子宮頸癌との共通点から、性感染症との因果関係の方が強いと考えられています。

陰茎癌の3つの代表的な治療法と副作用について

陰茎癌には「外科(手術)療法」「化学療法」「放射線療法」の3つの治療法があります。

・外科療法
陰茎の切除、ならびに鼠径部の悪性リンパ節の切除手術を行います。手術後は陰茎が小さくなり排尿が難しくなることがあり、会陰部に達するまで陰茎を切除した場合は坐位にての排尿になります。

・化学療法
抗がん剤を投与して治療する方法です。ただし、白血球減少による感染症や、貧血、嘔吐、脱毛など、副作用が深刻なものとなるおそれがあります。

・放射線療法
陰茎への放射線の照射によって、治療を図る方法です。しかし、白血球や血小板の減少、吐き気や倦怠感、粘膜炎などの副作用があります。この副作用は放射線治療の「早期有害事象」といい、全体の半数程度の患者にみられます。
また、放射線治療が終わって数か月ほどが経過した頃に、脳障害、肝機能障害、腎機能障害、手足のしびれなどが生じることがあり、この副作用は「晩期有害事象」と呼ばれ、放射線の影響で毛細血管の血流が阻害されことが原因とされています。

おわりに:陰茎癌はデリケートな部位で受診が遅れがち。勇気を出して早めに受診を!

陰茎癌は、包皮の裏側に隠れて見えなくなりがちという物理的な要因と、生殖器の問題でおおっぴらに話しづらいという精神的な要因によって発見が遅れる傾向があります。しかし、治療が遅れて鼠径部のリンパ節に転移してしまうと深刻な状態に陥る可能性が高くなります。デリケートな部位にできた癌でも、医師にとっては他の部位の癌と変わらない癌です。
気になる症状があるときはすぐに病院を受診しましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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