春季カタルの治療薬タリムス®はどんな薬剤なの?

2017/12/26

渡辺 先生

記事監修医師

東京都内大学病院眼科勤務医

渡辺 先生

春季カタルとは、いわゆるアレルギー性結膜炎が慢性、重症化したものです。発症する時期は決まっていませんが、春から夏に症状が悪化しやすいといわれています。この記事では、2008年に認可された春季カタル治療薬「タリムス®」について解説していきます。

春季カタルとは?

春季カタルはアレルギー性結膜炎の慢性重症型です。
アレルギー性結膜炎の主症状は眼のかゆみ、眼痛、眼脂、充血などであり、結膜炎の中でも、眼瞼結膜(まぶたの裏)に乳頭と呼ばれる隆起ができ、角膜と結膜の境界部にも病変が及ぶものを春季カタルと呼びます(結膜の増殖性変化といいます)。

アレルギーを起こす原因物質(抗原)との接触により生じる体の反応が発症要因であり、抗原はハウスダストを筆頭に、スギ、ヒノキ、ブタクサなどの花粉、ダニ、犬猫の毛、フケなど多岐にわたります。春~夏に症状が悪化する傾向がありますが、症状は基本的には1年中起こる可能性があります。

春季カタルは、学童期から思春期までの男児に多く見られる病気です。従来は、10歳を過ぎると自然に治癒していくことが多かったのですが、近年では20歳代でも強い症状がみられるケースがあります。アトピー性皮膚炎を合併することが多いのも特徴です。

春季カタルの治療法について

春季カタルの第一選択薬としては、抗アレルギー薬が用いられます。花粉症と同様、かゆみを引き起こすヒスタミンに作用するヒスタミンH₁受容体拮抗薬や、ヒスタミンなどを増やさないようにするメディエーター遊離抑制薬などが挙げられます。

しかしかゆみなどの症状がひどい場合は抗アレルギー点眼薬だけでは症状が改善されないこともあるため、免疫抑制点眼薬が併用されます。シクロスポリン点眼薬は、2006年に春季カタルの治療薬として認可を得た免疫抑制点眼薬です。

抗アレルギー点眼薬・免疫抑制点眼薬だけでは効果が得られない重症の春季カタルの場合、さらにステロイド点眼薬も追加されます。ただしステロイド点眼薬は眼圧を上げてしまう副作用があります。
さらに症状に応じて、ステロイドの結膜下注射や、増殖した乳頭の切除などの外科的治療を行うこともあります。

タリムス点眼液®(一般名:タクロリムス水和物)はどんな薬?

タリムス点眼液は2008年にシクロスポリン点眼剤に次いで、免疫抑制薬の点眼剤として春季カタルに適応を取得した製剤です。従来のステロイド点眼剤と同等の抗炎症作用を持ちつつ、眼圧上昇などの副作用を起こすおそれが少ないことから、今後の利用拡大が予想されています。
ただし、ステロイド点眼剤と同様、ヘルペスやブドウ球菌などによる感染症には厳重な注意が必要とされます。また、承認時までの臨床試験では、64%に副作用が認められました。主なものは、眼の異常感(眼部熱感、眼の異物感、眼の違和感)44.2%、眼刺激20.9%、流涙増加11.6%となっています。
また発売開始後6か月間の全例(1,000件)調査によって、1,082例中5例(0.46%)に細菌性角膜炎等の重篤な副作用が認められましていることは理解しておきましょう。

おわりに:どの薬もメリットとデメリットがある。医師と相談しながら症状や状態にあたものを選ぼう

春季カタルの治療法は、抗アレルギー薬が第一選択薬ですが、症状がひどい場合などは免疫抑制点眼薬やステロイド点眼薬も用いられます。2008年に発売開始したタリムス点眼液は効果が期待されますが、副作用も報告されていることから、この薬の使用開始前には十分な説明を受け、十分納得したうえで意思決定をするようにしましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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