春季カタルの治療では、どんな薬が使われるの?

2017/12/26 記事改定日: 2019/5/24
記事改定回数:1回

渡辺 先生

記事監修医師

東京都内大学病院眼科勤務医

渡辺 先生

春季カタルとは、いわゆるアレルギー性結膜炎が慢性、重症化したものです。発症する時期は決まっていませんが、春から夏に症状が悪化しやすいといわれています。
この記事では、春季カタルの薬物治療について解説していきます。

春季カタルとは?

春季カタルはアレルギー性結膜炎の慢性重症型です。

アレルギー性結膜炎の主症状は眼のかゆみ、眼痛、眼脂、充血などであり、結膜炎の中でも、眼瞼結膜(まぶたの裏)に乳頭と呼ばれる隆起ができ、角膜と結膜の境界部にも病変が及ぶものを春季カタルと呼びます(結膜の増殖性変化といいます)。
1年中起こる可能性がありますが、春~夏に症状が悪化しやすいです。

アレルギーを起こす原因物質(抗原)との接触により生じる体の反応が発症要因であり、抗原はハウスダストを筆頭に、スギ、ヒノキ、ブタクサなどの花粉、ダニ、犬猫の毛、フケなど多岐にわたります。

春季カタルは思春期までの男児に多く見られる病気で10歳を過ぎると自然に治癒していくことが多かったのですが、近年では20歳代でも強い症状がみられるケースがあります。
アトピー性皮膚炎を合併することが多いのも特徴です。

春季カタルの症状の特徴と眼科に行ったほうがいいタイミングは?

春季カタルでは次のような症状が見られます。

  • 目のかゆみ
  • 目の充血
  • どろどろとした目やに
  • 瞼のむくみ
  • 目の痛み

春季カタルは、瞼の裏にぼつぼつとした凹凸状の病変(乳頭)が形成されます。重症になるほど乳頭も大きくなり、乳頭が角膜を傷つけて強い目の痛みや充血などを引き起こし、なかには視力障害を生じるケースもあります。

このため、春季カタルを発症した場合はできるだけ早く治療を開始することが大切です。強い目のアレルギー症状があるときや、市販のアレルギー用目薬を使用しても症状が良くならないとき、目の痛みや視力低下などの症状がある時は早めに病院を受診しましょう。

春季カタルはどうやって治療するの?

春季カタルの第一選択薬は抗アレルギー薬です。
花粉症と同様、かゆみを引き起こすヒスタミンに作用するヒスタミンH₁受容体拮抗薬や、ヒスタミンなどを増やさないようにするメディエーター遊離抑制薬などが使われます。

かゆみなどの症状がひどく、抗アレルギー点眼薬だけでは症状が改善されない場合は免疫抑制点眼薬が併用されます。

抗アレルギー点眼薬と免疫抑制点眼薬の併用で効果が得られないほど重症の場合は、ステロイド点眼薬が追加されることがあり、状態によってはステロイドの結膜下注射や手術を行うこともあります。

タリムス®点眼液

タリムス®点眼液は、2008年に免疫抑制薬の点眼剤として春季カタルに適応を取得した製剤です。
従来のステロイド点眼剤と同等の抗炎症作用を持ちつつ、眼圧上昇などの副作用を起こすおそれが少ないことから、今後の利用拡大が予想されています。

ただし、ステロイド点眼剤と同様、ヘルペスやブドウ球菌などによる感染症には厳重な注意が必要とされます。

おわりに:春季カタルは抗アレルギーの点眼薬が治療の第一選択

春季カタルの治療法は、抗アレルギー薬が第一選択薬ですが、症状がひどい場合などは免疫抑制点眼薬やステロイド点眼薬も用いられます。2008年に発売開始したタリムス®点眼液は効果が期待されますが、副作用も報告されていることから、この薬の使用開始前には十分な説明を受け、十分納得したうえで意思決定をするようにしましょう。

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