腸重積の兆候に早く気づいて重症化を回避するにはどうすればいい?

2018/1/25 記事改定日: 2018/7/23
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

腸重積は、小腸が大腸の中に入り込んでしまい、激しい腹痛を引き起こす病気です。この病気になった場合、どのような症状がみられるのでしょうか。この記事では、腸重積に特有の症状とともに、治療法について解説します。

腸重積はどんな病気?

食べ物を摂ると、胃から小腸、大腸へと移動します。小腸と大腸のつなぎ目に回盲部があります。この回盲部に異変が起こると、小腸が大腸の中に入り込んで折り畳まれた状態になることがあります。このため、腸の血流が悪くなって強い痛みが出たり、腸が壊死を起こしてしまうことがあります。この状態のことを腸重積と呼んでいます。

腸重積の原因は?

腸重積は、元からあった腸の病気が原因で起こることもあれば、原因不明のこともあります。大人が腸重積を起こす場合、悪性腫瘍やポリープなどが原因となって起こりますが、子供の場合は元になる病気がなく、風邪をひいた時の炎症が腸に起こったために発症することもあります。

腸重積の症状は?

腸重積に特徴的な症状は、激しい腹痛です。痛みがとても強いので、赤ちゃんが腸重積を発症すると急に激しく泣き出します。しかし、痛みが持続するわけではなく、痛みが弱くなったり強くなったりする状態を繰り返します。

このため、泣く時にも急に大泣きをしたかと思えば、しばらくすると泣き止むといった、普段とは違う泣き方をします。また、腸が重なっている部分は他の部位よりも固くなっているので、お腹を触った時にソーセージのような塊があるように感じることもあります。
もうひとつの特徴的な症状は、イチゴジャムのように粘度が高くて赤い血が混ざった便が出ることです。

大人の腸重積の症状の特徴は?

大人でも腸重積になることがあります。しかし、発症の原因がはっきりしない小児の場合とは異なり、消化管の手術をした後やポリープなどの病気がある場合に起こりやすいとされています。

症状は、小児の場合よりも明らかでないことが多く、特に血便が出にくいのが特徴です。このため、腹痛が現れた場合でも「単なるお腹の風邪」と判断して放置すされることが多く、腸に穴が開いたり、敗血症にまで進行して初めて病院を受診するケースも少なくありません。

腸閉塞(イレウス)や壊死を引き起こすって本当?

腸重積は悪化すると、腸閉塞や腸の壊死を引き起こすことがあります。
これは、腸重積を引き起こした部位では食べ物の通過障害が生じやすいためで、更に重症化すると腸への血流量が減少して壊死を引き起こすこともあります。

壊死を生じた腸は大きく切除する必要があり、敗血症やショック状態に至ることも少なくありません。このため、腸重積は万が一発症したとしても、早期に治療を開始することが非常に重要となります。長引く腹痛などの症状がある場合には、放置せずに病院を受診するようにしましょう。

腸重積はどうやって治療するの?

腸重積を発症したら、すぐに治療する必要があります。一般的には、発症から24時間以内であれば、おしりから空気や生理食塩水、バリウムなどを高圧で注入し、腸が重なっている部分を元に戻します。この方法で8割から9割の腸重積を治すことができます。

この方法で元に戻せなかった場合、外科的な手術をして腸重積を治療します。また、発症から時間が経っていて腸閉塞を起こしていたり、腹膜炎を合併している時にも手術します。手術は腸を一部切除する場合と、切除せずに元に戻すだけの場合とがあります。

腸重積が疑われたら、早急に病院を受診しよう

腸重積は発症からすぐ治療すれば、手術をせずに治療することができます。しかし、治療のタイミングが遅くなると、腸重積が起こっている部分で血流障害が起こって腸が壊死します。壊死するとその部分を手術で切除しなければならず、手術も大がかりなものになります。また、手術後も消化器の機能が元に戻るのに時間がかかります。このため、腸重積が悪化する前に治療することが重要です。

子供の腸重積は風邪の症状に続いて起こることがあり、発見が遅れることがあります。腸重積の疑いがあるのではと不安になったら早めに病院へ行き、重症化を予防しましょう。

おわりに:激しい腹痛や血便が出たときは病院へ急ごう

腸重積は発症からすぐに適切な治療すれば、手術をしなくても治る病気です。治療が遅くなって重症化すると手術が必要になるので、気になる症状がみられたらできるだけ早く病院で診てもらいましょう。

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