記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2018/1/22 記事改定日: 2019/6/24
記事改定回数:1回
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
ぶどう膜炎は虹彩や毛様体、脈絡膜の総称であるぶどう膜に起こる炎症の総称です。この記事では、ぶどう膜を発症した場合にどのような治療が行われるのかや、治療にあたって気をつけるポイントを解説します。
ぶどう膜炎は眼の中にある虹彩や毛様体、脈絡膜の総称であるぶどう膜に起こる炎症の総称です。ぶどう膜は形が球体で、血管やメラニン色素を作る細胞メラノサイトが多く、色もぶどうに似ていることから名づけられました。
ぶどう膜炎はサルコイドーシス、原田病、ベーチェット病といった難病が原因になって起こるケースが多く、かつては三大ぶどう膜炎と呼ばれていました。
しかし、近年ベーチェット病は減少傾向にあり、急性前部ぶどう膜炎や強膜炎による発症が増えています。
ぶどう膜炎を発症する原因として、三大ぶどう膜炎のような自己免疫疾患によるものや、細菌性眼内炎やヘルペス性虹彩毛様体炎のような細菌感染、外傷や腫瘍によるものなどがありますが、患者の3人に1人は原因が特定できないとも言われています。
ぶどう膜炎は治療が遅れると深刻な視力障害を引き起こし、失明に至ることもあるためできるだけ早く発見し、治療する必要があります。
ぶどう膜炎の治療は発症原因によっても異なりますが、細菌やウイルス感染によるものは抗生物質・抗ウイルス薬の内服や注射、抗生物質入り点眼薬の使用を行います。
また、自己免疫疾患によるものや炎症が強い場合にはステロイド剤を用いることになります。多くはステロイド剤入りの点眼薬を使用するのみで改善しますが、良くならない場合や重症な場合には内服・点滴治療が行われ、必要に応じて免疫抑制剤の投与が検討されることもあります。
ぶどう膜炎の症状が改善すると、薬の点眼や服用を忘れたり、通院しなくなったりすることがあります。
ただ、一見治っているように見えても完治していないことも多く、そのような場合は症状が再発するリスクが高まります。
また、緑内障や網膜剥離といった合併症は、症状が進行するまで自覚症状がないことも多いです。再発や合併症を予防するためにも、継続的な通院が重要です。
検査で再発や合併症予兆を確認できれば、予防のための治療を受けることができます。
もし、副作用が強く出ていて薬を使うのがつらいのであれば、医師に相談のうえ薬の量を調整できることもあります。疑問点や不安な点を担当医と相談しながら、きちんと治療を継続していきましょう。
ぶどう膜炎が完治するまでに時間がかかるかもしれません。でも、症状が落ち着いたからといって、安易に通院や薬の服用をやめたりせず、粘り強く治療を続けることが再発や合併症を予防するうえで大切です。医師の指示をきちんと守って、ぶどう膜炎を治しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。