記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/12 記事改定日: 2019/11/5
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
鼻骨は薄く出っ張っているので骨折しやすいです。治療せず放置すると後遺症が残ることもあるので軽視はできません。
この記事では、鼻骨骨折の整復や手術の適応、後遺症について解説していきます。
鼻骨は薄く、出っ張っているので、交通事故やコンタクトスポーツなどで顔面を強打したときに折れやすいです。
鼻骨が骨折すると、鼻血や腫れ、鼻筋の変形、鼻を押したときの痛みなどの症状が出ます。見た目だけでは骨折しているかどうかわからないことがあるので、触診やX線(レントゲン)、CT検査なども併用しながら診断していきます。
鼻骨骨折の治療では、まず折れた鼻骨を元の位置に戻す「整復」が行われます。
はじめに局部麻酔をかけてから整復していきますが、骨折から1週間ほどが経って鼻骨の変形が固定され始めている段階では、痛みが強くなるので全身麻酔をかけることもあります。
麻酔がかかったら、鼻の穴から鉗子を差し入れて操作しながら鼻骨が正常な位置に来るよう調整します。
正常な位置に戻ったら、鼻の中側は帯状のガーゼを詰めて骨を固定し、鼻の外からもギプスで固定します。
鼻骨骨折は放置すると鼻が曲がってしまったり、鼻の通りが悪くなるなど様々な後遺症が出てしまうことがあります。
変形が軽度な場合は上で述べたような患部を固定するのみでよい場合もありますが、変形が強い場合や鼻出血が止まらない場合などは手術をして骨の位置を元に戻す必要があります。
手術では、上で述べたように鼻の中に粘膜に局所麻酔薬がしみ込んだガーゼを詰めて十分に麻酔を行き渡らせます。
そして、鼻の中に鼻骨をつまむ「鉗子」を挿入し、鼻骨を元の位置に戻します。形が整ったら鼻の中にガーゼを詰めたうえで鼻の外側からギプスを当て、内側と外側から固定をして終了です。
固定は1週間ほどで取ることができますが、骨折をした後は1か月ほど骨が変形しやすい状態が続きますので転倒や打撲などに注意しましょう。
鼻骨骨折は、放っておくと鼻が「くの字」に曲がってしまうことがあります。鼻は顔の中心にある目立ちやすい部位であるため、変形したまま骨がくっついてしまうと精神的に大きなダメージになることも少なくありません。
また、鼻は空気の通り道でもあるため変形すると空気が通りにくくなり、息がしにくい、口呼吸になる、いびきが強くなる、などの症状が現れることがあります。
このような後遺症を避けるためにも、鼻骨骨折が疑われる場合はできるだけ早く病院を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。
また、治療後は一か月ほどは鼻に刺激を加えないよう心掛けるようにしてください。
鼻は顔の中央にあり、人の第一印象を決めるパーツのひとつです。鼻骨が骨折し、歪んだままになると、美容的にも悪影響ですし、ひどいときには呼吸に悪影響を与えてしまうこともあるのです。
鼻骨骨折は、早期に治療すれば骨折の痕がわからないほど回復できる場合もあります。「折れたかな」と思ったら、すぐに耳鼻科などを受診しましょう。