記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
赤ちゃんや小児は、平衡器官や筋力が未発達なため、大人に比べて頭蓋骨骨折を起こしやすいといえます。この記事では、子供の頭蓋骨骨折の予防法と対処法を紹介していきます。いざというときのための参考にしてください。
頭蓋骨骨折を起こしてしまうと、脳の周囲に満たされている透明な液体(髄液)が鼻や耳の穴から出て来たり、鼓膜に血がたまって破れ、耳から出血するなどの症状が出ることがあります。
他にも、内出血を起こして耳たぶの後ろや目の周りにパンダのようなあざができたりすることもあります。
赤ちゃんや子供の頭蓋骨の構造や大きさは、大人とは異なります。
頭蓋骨や周りの組織が大人に比べて薄く柔らかいため、強い衝撃を受けても軽症で済む場合があったり、逆にちょっとした衝撃でも思いがけず重症化することもあります。
子供は体のバランス感覚や空間認識能力、筋力が発達途上のため、大人に比べて転倒や転落する機会が多く、頭蓋骨骨折しやすくなるといえるでしょう。何かあってからでは遅いですから、転落や転倒による事故で赤ちゃんや子供が頭蓋骨骨折を負ってしまわないよう、大人が動向を注意して予防に努めましょう。
赤ちゃんや子供の頭蓋骨骨折は、大人が気を付けることで予防できます。
子供の年齢と行動範囲にあわせて、危険なものを手の届かないところに置くようにしたり、高い所には柵を付けたり、常に目を離さず手を繋いでおくなど、転倒や転落を防ぐ予防策をとることが大切です。
赤ちゃんや子供が頭蓋骨骨折を疑うような外傷を負ったときは、ケガをした直後から以下の6段階で状態を確認するようにしましょう。
・泣いたかどうかで意識を確認する
元気に泣いていれば意識がある状態といえますが、泣かないでぼーっとしているようなら意識を失っているおそれがあります。すぐに救急車を呼びましょう。
救急車が来るまでの間はできるだけ頭部を動かさず、呼吸をみながら、必要なら顎をあげて首をのばし気道を確保してあげてください。
・出血していないか、外傷を確認する
出血しているならタオルなどで圧迫止血し、消毒をしましょう。たんこぶができている場合は、濡らしたタオルなどで冷やしてください。もし、圧迫しても出血が止まらない場合は、すぐに医療機関へ向かいましょう。
・嘔吐の有無、状況を確認する
少し吐いておさまる程度であればしばらく様子をみてもかまいませんが、一定時間経過しても気分が悪かったり嘔吐するようなら、すぐに医療機関へ行ってください。また、意識障害があって嘔吐した場合は、吐しゃ物が機関に詰まって窒息することがあるので、横向きにして吐かせましょう。
・耳・鼻から体液が出ていないか確認する
耳や鼻から透明な液体や血が出ている場合は、頭蓋骨骨折をしている可能性が高いです。すぐに医療機関を受診しましょう。
・呼吸が停止していないか観察する
呼吸が止まってしまったらすぐに救急車を呼び、到着するまでの間マウストゥマウスや心臓マッサージなどの救命措置を行ってください。
・特に症状も外傷もなければ、72時間を目安に経過観察を
頭を打ってからしばらく元気でも、数か月経ってから意識障害が出るケースもあります。
外傷後72時間を目安に経過を観察しましょう。心配な場合は、一度医療機関を受診して相談してもかまいません。
赤ちゃんや子供は、大人に比べて頭蓋骨骨折が起こりやすいといえるでしょう。しかし、大人が目を離さず、予防策を講じて揚げることで、高確率で防げるケガでもあります。有効な予防法といざというときのための対処法を理解しておくことが大切です。