記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/20 記事改定日: 2019/3/22
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
甲状腺にできる腫瘍を甲状腺腫瘍といいます。甲状腺腫瘍は自覚症状がほとんど出ないという特徴があり、腫瘍には良性のものと悪性(がん)があります。
この記事では、甲状腺腫瘍の症状や検査、診断について詳しく解説していきます。
甲状腺腫瘍とは、代謝を左右する甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺という器官にできる腫瘍(できもの)のことです。
甲状腺は喉に位置する器官であり、腫瘍ができると首が腫れたようになります。
症状としては首の腫れやしこり、喉の枯れや違和感などが挙げられますが、このような症状が出ることはまれで、自覚症状がほとんどないのが特徴です。
発症の原因はよくわかっておらず、発症例が20~50代までの若い女性に集中しているといわれています。
甲状腺腫瘍には非常に悪性度の高い未分化がんなどのタイプもあるため、早期に発見して検査・治療を行うことが大切です。
甲状腺腫瘍を早く発見するには、定期的に甲状腺に触れて大きさや可動性などをチェックするようにしましょう。甲状腺は首の前面中心部に触れますので、しこりや痛みなどがないか触ってみてください。
また、唾を飲み込んで甲状腺が上下に動かない場合は甲状腺の可動性が低下している可能性があります。
さらに、甲状腺腫瘍では嚥下時の違和感や痛みなどを引き起こすことがあり、甲状腺ホルモン分泌機能が低下することによって倦怠感や眠気、むくみなどの症状が見られることもあります。思い当たる症状がある場合には早めに病院を受診するようにしましょう。
甲状腺の腫瘍には悪性(がん)のものと良性のものがあり、ほとんどが放っておいても大きくなったり性質が変化したりしない良性のものといわれています。
また、悪性であっても適切なタイミングで適切な治療を行えば根治できることが多いとされています。
甲状腺にできる悪性腫瘍と良性腫瘍には、以下のような種類があります。
甲状腺腫瘍が悪性か良性かを診断するには、いくつかの検査が必要です。
細かい検査内容は病院の方針によっても異なりますが、以下に、一般的な検査の流れに沿って、甲状腺腫瘍の検査方法をご紹介していきます。
まずは、見た目に腫れていない視診で確認し、首を触診して甲状腺のあたりにしこりがないかチェックします。
さらに、あわせて声帯の状態を検査して、声を枯らしてしまう「反回神経」の麻痺が出ていないかも確認します
見た目と触診だけでは、甲状腺腫瘍が良性か悪性かを判断することはできません。次は、超音波エコーと針による生検を行います。
エコーでは腫瘍の大きさやかたちなどをより詳細に診察します。生検では、採血に使用するのと同じくらいの細い針で腫瘍の組織を取り出し、その性質を検査します。
生検で行う腫瘍マーカーにより、8割程度の確率で良性か悪性か診断できるといわれています。
血液検査では、血液中の甲状腺ホルモンの量や状態から、甲状腺機能が低下していないかを確認します。
良性か悪性かの診断時には行わない病院もありますが、術前には行われることが多いです。
悪性腫瘍の可能性が高いという診断に至った場合は、腫瘍の状態をより詳細に理解するために、手術前にCTによる検査が行われます。
甲状腺腫瘍は自覚障害が無く、ほとんどの場合は放っておいても問題のない良性腫瘍です。しかし、悪性の可能性がある以上、甲状腺腫瘍の疑いがあるまま放っておくのは危険といえるでしょう。
疑わしいしこりを見つけたら、一度精密検査を受けることをおすすめします。