クッシング症候群とクッシング病 ― どんな症状が出るの?

2018/1/12

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

クッシング病とは、クッシング症候群の一種です。下垂体の腫瘍が原因でコルチゾールが過剰に分泌されてしまう状態になることで発症します。この記事では、クッシング病の症状や発症の原因について解説していきます。

クッシング症候群とは?症状は?

 

クッシング症候群とは、副腎皮質ステロイドホルモンのひとつ、コルチゾールが過剰に分泌されるために、特徴的な体つき(満月様顔貌、体の中心部の肥満、前腕や下肢の皮膚のピンクのまだら模様、皮下出血、にきび、皮膚線条など)を示す疾患です。また特徴として、腎結石による痛みや血尿、骨粗鬆症による骨折、うつ症状に加え、高血圧、ステロイド糖尿病など、生活習慣病と類似したさまざまな合併症を発症しやすくなります。

治療を怠った場合、これらの症状の悪化に加え、著しい免疫力低下のため感染による感染症で重篤化する危険があります。
男女比は1:4であり、女性に多く見られる病気です。

クッシング症候群とクッシング病の違いは?

コルチゾールは、下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)というホルモンによって促進されます。ACTHは、さらに上位の脳にある視床下部から分泌される副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)というホルモンの調節を受けています。何らかの原因でこれらのバランスが乱れ、結果的にコルチゾールが過剰に分泌される状態をクッシング症候群といいます。
クッシング症候群の中でも、下垂体の腫瘍が原因でACTHが過剰分泌されコルチゾールが増える病気をクッシング病といい、クッシング症候群の約70%を占めます。

クッシング病の診断・検査

コルチゾール過剰を証明するために、血液や24時間尿中のコルチゾールの高値に加え、デキサメタゾン(合成ステロイドホルモン)抑制試験における血清コルチゾール濃度の値により診断します。これは、ACTHとコルチゾールが早朝から午前中にかけて高値、夕方~夜間は低値を示す日内変動を利用した診断方法です。
クッシング症候群では、デカドロンによりACTHを低下させても、副腎腫瘍からはのコルチゾール分泌は依然として低下しないため、翌朝の血中コルチゾール濃度が高い値となるといわれています。
上記の流れでクッシング症候群と診断された後、頭部のMRIやCTなど検査で下垂体腫瘍が見つかった場合は、ほとんどのケースでクッシング病と診断されるでしょう。

クッシング病の治療法

治療は原則として、手術による病巣の摘出術を行います。摘出する腫瘍は、通常は、直径数cm程度の単一のものなので、腫瘍のある側の副腎を摘出します。
手術が出来ない事情のある場合には、副腎皮質ホルモン合成阻害薬などの薬を用いますが、効果が不十分であることも多いとされます。下垂体腺腫から産生されるACTHを確実に抑える薬は今のところないため、できる限り手術で腫瘍を取りきるように努めます。
なお手術で腫瘍が全部取れれば、多くの症状は改善されます。しかし、腫瘍がなかった正常な部分からのACTH分泌は、手術前のコルチゾール過剰の影響で抑制されていることから、それが回復するのに通常は1年、人によっては2年近くかかるといわれています。治療のために、薬(コルチゾール作用をもつ糖質コルチコイド)を内服する必要があります。

おわりに:発症すると重症化しやすい。気になる症状があるときは早めに病院へ

この病気の方は、感染に対する抵抗力が弱く、一旦発症すると重症化しやすいという問題があります。高血圧、糖尿病等の治療が長期化したり困難にならないよう、早期受診および積極的な治療を受けるようにしてください。

難病情報センター の情報をもとに編集して作成 】

この記事に含まれるキーワード

クッシング症候群 ステロイド糖尿病 クッシング病 コルチゾール過剰分泌 ACTH CRH デカドロン