~ ユーイング肉腫の治療法を詳しく解説します ~

2018/1/15

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

ユーイング肉腫(ESFT) とは、子供や若年層に多い骨や軟部組織(筋肉や靭帯、皮膚など)にできる悪性腫瘍です。ユーイング肉腫は、どのように治療を進めていくのでしょうか。化学療法、手術療法、放射線治療の3つの治療法について詳しく解説していきます。

ユーイング肉腫(ESFT) とは?

ユーイング肉腫は、主として小児や若年者の骨に発生する悪性腫瘍(がん)です。皮膚や筋肉、結合組織といった軟部組織に発症することもあります(約10%)。

腫瘍が骨の中にできると、骨に痛みが出たり周囲が腫れたりし、発熱を伴うこともあります。一方、軟部組織にできた場合は痛みがないこともあります。成長痛や外傷による疼痛に似ていたり、腫瘍がある程度大きくなるまで外見からも分かりにくいという特徴があるため、診断が遅れる場合があります。ユーイング肉腫は、関節部分から遠い「骨の中心部」で発症しやすい点が骨肉腫との違いであり、小児に発生する骨の悪性腫瘍では骨肉腫に次いで2番目に多い病気です。

発症年齢別にみると、全体の約半数が10歳から20歳の思春期に集中しています。また、70%の患者は20歳までに発症し、30歳以上の患者はまれです。

ユーイング肉腫の治療はどんな流れで行うの?

ユーイング肉腫の治療は、抗がん剤による化学療法と手術、放射線治療が重要な三本柱です。
治療の進め方としては、まず、化学療法により病巣をできる限り小さくした後、手術で確実な切除を目指します。その後、残っているかもしれない病巣や転移しているかもしれない腫瘍細胞を殺すため、長期にわたって化学治療を続けることになるでしょう。放射線治療については、病院や医師の方針によって線量や照射時期が異なってきます。

3つの治療法:「化学療法(抗がん剤治療)」「手術療法」「放射線治療」について

化学療法

手術前に6~12週間の化学療法を行い、手術後さらに半年~1年にわたって治療を続けます。またがんが肺などに転移しているときには「超大量化学療法」を行うこともあります。
化学療法としては現在、6種類の薬剤の有効性が高いとされています。腫瘍の限局例に対しては、これらのうち4~6剤を組み合わせた多剤併用(たざいへいよう)化学療法を行うのが一般的です。

手術療法

切除が可能な腫瘍に対しては手術が検討されます。可能な限り手足の温存が考慮されたうえで手術が進められますが、状態によっては切除が避けられないケースもあるでしょう。
手術を中心とした治療法を選択した場合でも、手術のみで終わることはなく、化学療法や放射線治療が併せて行われます。原発巣が脊椎の場合など、切除が難しいケースもあるため、肉腫が発生した部位など状態を考慮しながら、手術を行うか行わないかを含めて手術の方法を選択します。

放射線治療

50~60Gy(グレイ)が、完全に治るために必要な線量と考えられていますが、施設や症状により幅があります。手術での切除の範囲や正常組織への影響を考え照射する部位や範囲を検討しつつ、抗がん剤の効き具合によって照射線量を変更します。
照射時期について、手術の前と後のどちらに放射線治療を施行したほうがよいかに関しても、一致した見解はなく、医療施設によって異なります。

起こり得る副作用とその対処法

手術の副作用としては、骨や体の一部切除に伴う機能低下が挙げられますが、リハビリによる回復は十分可能とされています。一方、抗がん剤の副作用としては、食欲不振、免疫力低下に伴う感染症のおそれなどがあり、様々な支持療法(がんの症状や副作用を軽減する治療)で対処します。また、抗がん剤を使い終わった後に、腎臓や心臓の働きが悪くなったり、高音が聞こえにくくなったりすることがあります。そのため病気が治った後も定期的に病院に通院して、検査を受けることが必要です。

おわりに:治療は手術療法・化学療法・放射線療法の3つの組み合わせが基本

ユーイング肉腫は、主として小児や若年層の骨や軟部組織に発症する悪性腫瘍です。手術療法に加え、化学療法と放射線療法が治療の柱となりますが、各治療法には副作用を伴うこともあり、医療機関や担当医師によって治療方法の詳細は異なってきます。セカンドオピニオンを利用しながら、納得できる治療方法を選択しましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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