記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
リンパ管腫とは、リンパ管がふくらんで袋状に変異してしまう病気です。発症部位によっては呼吸困難に陥るケースもあることから、軽視できない病気といえるでしょう。この記事ではリンパ管腫の治療法を紹介していきます。治療方法ごとにメリットとデメリットを紹介していくので参考にしてください。
リンパ管腫とは、水風船のような嚢胞があつまって塊をつくっていく病変のことです。嚢胞はリンパ管が異常に膨らんで袋状になったもので、中身はリンパ液が主体で出来ています。触ると弾力性があることが多いです。嚢胞部分の体積が大きいものを嚢胞性リンパ管腫、嚢胞は非常に小さく硬い部分が多いものを海綿状リンパ管腫と呼びます。病変部は腫れて出っ張っているので、見た目の問題になったり、体を動かすときも邪魔になるようになります。
また、あごや首の深いところにできると呼吸困難を生じたり、のどが潰れて飲み込むのが難しくなることもあり、経過中に突然出血を起こし急激に大きく腫れたり、細菌が侵入してひどく痛むこともあります。
リンパ管腫の治療法は大きく3つに分けることができます。ひとつは手術で切除することです。リンパ液を含んだ嚢胞を完全に切除できれば完治が可能であり、短期間で治療が完了します。海綿状リンパ管腫は硬化療法が効かないことも多く、切除術が有効とされています。
硬化療法では、薬剤を病変部に注射し、リンパ液を含む嚢胞が小さくなるために全体の大きさを少しずつ小さくしていきます。嚢胞内のリンパ液を抜いて、そこに薬剤が注入できると、より効果が得られるとされています。硬化剤としては、ピシバニール(OK-432)、ブレオマイシン、無水エタノールなどさまざまにありますが、日本ではピシバニールが主流といわれています。発熱や局所の炎症反応が現れますが、合併症のリスクを抑えながら病変部を縮小することができ、嚢胞性リンパ管腫には効果的だとされています。
新たに注目されているのが漢方薬による治療です。低侵襲なので服用してみる価値はあるかもしれませんが、効果が現れるのはゆるやかです。
外科的切除を行うと、キズは残ります。また、病変を部分的に切除することが推奨されますが、周りの正常な部分を切除しなければならないことも多く、機能的、美容的な問題を残すことがあります。傷口から細菌が入ってしまうと、ひどい感染症を起こす可能性もあります。
硬化療法では、嚢胞性リンパ管腫には硬化がありますが、海綿状リンパ管腫への硬化は十分ではないので、外科的切除を行わなければならないことが多いです。
漢方薬での治療は、効果が出るのがゆるやかですので早期に治療効果を得る必要がある場合には使用できません。
リンパ管腫の治療には、手術での切除、硬化療法、漢方治療など様々な方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。それぞれの特徴をきちんと理解し、自身の状況や症状にあった治療法を選ぶことが大切です。医師と相談しながら納得のいく治療方法を選択しましょう。