シェーグレン症候群の主症状「口の渇き」への処方薬と漢方薬とは

2018/1/31

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

シェーグレン症候群とは、難病にも指定されている自己免疫疾患であり、全身に乾きの症状が現れます。この渇きは口内にも起こるものであり、口の渇きから様々なトラブルに発展する可能性があるのです。この記事では、シェーグレン症候群の口腔乾燥を改善する薬について解説します。

シェーグレン症候群とは?

「シェ―グレン症候群」は代表的な自己免疫疾患のひとつで、本来は体内に入り込んだ外敵を攻撃する免疫系が何らかの理由で自分自身を攻撃してしまうものです。圧倒的に女性が多く、50歳代を中心に小児から高齢者まで幅広く発症します。根本的な原因は不明ですが、涙の分泌を行う涙腺と唾液の分泌を行う唾液腺が攻撃され機能しなくなることでさまざまな症状があらわれます。

唾液腺が破壊されることで起こるのが「口腔乾燥(ドライマウス)」です。唾液は口の中を洗い流すほか、抗菌作用やミネラルによって歯を守っています。口腔乾燥になると虫歯が増え、口が乾燥するため食べ物の嗜好が変わったり、味覚がなくなる、唇や口角がひび割れる、口内炎ができやすいといったことが起こります。また、喉まで乾燥がおよんで食べ物が喉を通らなかったり、声がかすれたりすることもあります。

シェーグレン症候群による口の渇きに対する対処法

現状では根本的な治癒は期待できません。治療では乾燥状態をやわらげることと、疾患を抑えて進行させないようにすること、生活の質(QOL:クオリティオブライフ)をいかに保つかが大切になります。
口腔乾燥への対処としては、まず虫歯になりやすいので口内を清潔に保つようにし、口腔乾燥作用を持つ薬などの使用を中止します。治療としては、「唾液の分泌を刺激、促進」するため、シュガーレスガムやレモン、梅干しを用いたり、分泌を促進するプロムヘキシンやアネトールトリチオンを副作用の状態をみながら使います。またメチルセルロースを含んだ人口唾液などを用いた「唾液の補充」、ポビドンヨードなどによる殺菌や歯のブラッシングなどによる「口内の真菌感染予防」のほか、「口腔内環境の改善」として乾燥食品や香辛料、アルコールを避けるなど食事の改善、禁煙などが必要となります。

漢方薬が使われることもあるって本当?

西洋医学が解剖学、病理学、生理学を中心に発展した学問で病因分析的アプローチを取るのに対し、東洋医学は病侯と生体の反応を観察して対応する治療技術として発展した治療学です。東洋医学には中国医学や漢方医学が含まれ、漢方医学は日本で独自に発展した中国伝来医学です。現在、西洋医学的アプローチでは改善が難しい疾患が増える傾向にあり、高齢化に加えて漢方薬にも保険が使えるようになったことから、漢方治療が広まってきています。
漢方医学ではシェ―グレン症候群の原因として、肝(かん)に蓄えられている身体を潤いで満たす肝血(肝血)の不足が関与していると考えます。シェ―グレン症候群による唾液分泌の低下には、白虎加人参湯、麦門冬湯、五苓散、十全大補湯、加味逍遥散、八味地黄丸、柴苓湯などが処方され、特に麦門冬湯には比較的高い有効性が示されています。

おわりに:長くつきあう病気。医師と相談して自分に合った対処法、薬をみつけましょう

シェーグレン症候群は長期間にわたる慢性疾患です。主たる症状のひとつであるドライマウスについても生活改善を含む対処療法となります。薬については症状や体質に合わせて漢方薬の利用が広がり始めています。担当医と相談し自分に合った薬をみつけましょう。

難病情報センター の情報をもとに編集して作成 】

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