痛みがない尿路結石、治療は必要?痛みが出たときの対処法は?

2018/1/15 記事改定日: 2018/11/26
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腎臓~尿管~膀胱~尿道までの通路を「尿路」呼び、この通路のどこかに結石ができることを尿路結石と言います。
尿路結石は結石ができる場所によって痛みなどの症状が違い、ときには痛みがない尿路結石もあるのです。
この記事では、尿路結石の症状や治療法について解説していきます。

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一般的な尿路結石の症状とは?

私たちの体内では、腎臓から尿が排出され、尿管から膀胱に貯まって1日数回尿道から排出されるのが通常の流れです。しかし、その過程で体内の不要な物質(シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなど)が固まり、結晶化したものが尿路結石です。
日本人男性の11人に1人は一生で一度かかるとも言われており、男女ともに年々患者数が増えているといわれています。

腎臓~尿管で結石ができれば「上部尿路結石症」、膀胱より下でできれば「下部尿路結石」と呼ばれます。
症状は、脇腹や下腹部の痛み、血尿や頻尿などの症状が出ます。結石ができる部位によっては無症状の方もいますが、痛みが起こったときは強烈な痛みになることが大半であり、救急室を利用するケースも多いです。治療せず放置していると、腎臓への負担が重なり、腎機能低下につながります。

痛みが出ない尿路結石もあるの?

結石のできたのが腎臓だった場合、症状を感じない場合もあります。
この場合、CT検査を行い、結石が尿の流れをせき止めていたり今後せき止める可能性があるかどうかや、感染を起こしていないかを確認して治療の必要性を判断します。

CT検査は結石の発見だけでなく結石の密度まで判断できるので、適切な治療方針を決定するのに大いに役立ちます。

腎臓の結石でも、激しい痛みが出ることも!

腎臓にできた結石が尿管に移動すると、結石が細い尿管を傷つけて激し痛みが生じることがあります。また、尿の流出が停滞し、腎盂に尿が溜まることで腎盂の圧が上昇する「水腎症」を急激に発症すると、腰に非常に強い痛みが生じます。

尿管や腎盂の痛みは、腰を叩くと響くように痛みが強くなるのが特徴で、細菌感染を引き起こすと高熱が出て瞬く間に敗血症に進行することも少なくありません。また、多くは血尿を伴います。
血尿や高熱を伴う腰の痛みは腎臓結石が原因の場合もありますので、なるべく早めに病院へ行くようにしましょう。

尿路結石で痛みがでたとき、どう対処すればいい?

尿路結石の痛みは、結石が尿管を通って膀胱内へ流入すると消失します。しかし、膀胱まで流れ落ちるまでの間は激烈な痛みが生じ、特に尿管には三か所の狭窄部があり、そこを通過する際に痛みが増すことが多いです。中には、あまりに強い痛みのため、救急車で病院に運ばれることもあります。

このような痛みが生じたら、ボルタレン®座薬などの強い痛み止めを使用して痛みを和らげ、結石の排出を促すために水分を多く摂るようにしましょう。また、結石が大きい場合は膀胱まで流れ落ちないこともあり、尿管内に停滞することで腎盂腎炎の原因になることもありますので、痛みが治まった場合でもなるべく早く病院を受診することをおすすめします。

尿路結石の治療方法にはどんなものがある?

結石の状態や症状に応じて、主に3つのアプローチを行います。
まず、結石があっても無痛で、尿の流れや感染に問題のない場合では、経過観察を行います。

痛みがあっても、結石の直径が5ミリ以下の場合は排尿で体外に結石が出る可能性も高くなるため、こちらも経過観察になります。
結石が5ミリより大きく自然に排出されない可能性が高いと判断されたものや、尿管の塞き止めや感染によって腎機能が阻害されている場合には、早期の手術が必要です。

手術では、結石を衝撃波エネルギーで照射して破壊、小さくして排出を促す「対外衝撃波粉砕術」が主でした。しかし、機器の発展により痛みを抑えることができるようになり患者さんへの負担は軽減されたものの、結石を砕く力が低下するというデメリットが生まれたことで、現在は「経尿道的腎尿管砕石術」が主流になりつつあるといわれています。これは内視鏡を用いたレーザー手術で、尿の流れと逆向きに内視鏡を入れ、結石を除去またはレーザーで破壊します。

おわりに:痛みがない結石でも治療が必要な場合がある。結石ができやすい人はこまめに検査を

治療技術の発展により、手術での対応が可能になった尿路結石ですが、再発しやすいのも特徴の一つです。
体質や別の疾患に原因があるとも考えられるので、何度も尿路結石を発症した場合には、再発予防のためにも医療機関で詳しく検査しましょう。

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